黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、都合のいいことだけ言う。他。

建国記念の日 神話が生きる国誇りたい - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/356325/

 神武東征譚から説き起こしながら(それもどうかと思うのですが、まあ産経だし)、諸外国の王朝は血なまぐさい戦いから始まったとか、わけのわからない歴史認識を示しています。神武一味が大和国に入り込んだとき、無血入城だったとでも思っているのでしょうか。「平定」という表現は「平和裏に」ではなく、「反抗を(武力で)押さえつけて」ぐらいの意味です。
 神話が史実を一定の範囲で反映している、たとえば北九州の邪馬台国が大和に移って桜井茶臼山古墳を作ったという史実*1が神武東征譚として描かれたのかもしれないということ、また「民族の生活や信仰、世界観が凝縮されたもの」であり貴重な文化遺産であるとは言えるとしても、神話は神話です。まして、たとえば大化改新の日付*2を「建国」の記念日とすることはあるとしても、あきらかに加上説による神武天皇即位の日付を建国起源とすることについて、どうしておかしいと思えないのでしょうか。
 ちなみに、「日本国が建国された日」は、国としてのシステムが成立した日本国憲法施行記念日(5月3日)もしくは独立を回復したサンフランシスコ講和条約発効記念日(4月28日)です*3。4月28日の産経新聞は毎年、小堀桂一郎氏の「正論」を掲載していますが、もう少し切実に、「国の成り立ち」というものを考えてみるべきではないですか。神話というファンタジーに逃げることなく。

枝野氏入閣 「行革に本腰」なら歓迎だ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/356326/

 今日11日の「主張」がこうなるとは思わずに、基本的に言いたいことは昨日のエントリに書いてしまったわけですが。「〔枝野幸男氏の起用は〕鳩山首相の「小沢氏離れ」の意思表示」という見方に触れながら「一部にはある」と軽く流しているので、あれ? と思ったのですが、考えてみると鳩山首相小沢一郎氏と距離を置くのは産経にとって都合が悪いのですね。小沢独裁・鳩山傀儡政権と言い張れる状況の方が望ましいわけです。「民主党内から小沢氏への批判が出ないのは独裁の証拠」と産経論説陣がわめき散らしているときに、枝野氏や前原誠司国交相が「けじめ」「自浄能力」といった表現をしたことに、もっと大喜びするかと思っていたらスルー気味だったのも、「独裁」の証拠がほしかったのでしょう。かといって枝野新大臣に「もっとやれ」とけしかけるわけでもないのは、正直ほっとしています(笑)。産経にプッシュされたって嬉しくないし。枝野氏や前原氏は右派や親米派と見られることもありますが*4、少なくとも民主党民社協会系や自民党の清和会系のように、産経の都合がいいように動いてくれる政治家でないことはわかっているのでしょうかね。

【40×40】河添恵子 道義的責任分からぬ異邦人 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100211/stt1002110842001-n1.htm

 日本(の相撲)社会を肯定するためにモンゴル人に偏見を押し付け、日本国の現在の為政者たちを異邦人扱いする。「金が一番。不動産が二番。ウソも百回言えば本当になる」と少年少女に教えているのは、かつて不動産事業の収益が大きすぎてサンケイビルをグループから独立させ、「嘘も百回言えば本当になる」を日々実践している産経新聞にこそ当てはまる指摘でしょう。

*1: d:id:pr3:20100110:1263135511 から続いています。わたしは無根拠な北九州説信奉者です(笑)。しかし、神武天皇のルーツが北九州(日向国)とされていることは重視してもいいと思いますよ。

*2:これもまあ、怪しいといえばたいへん怪しいのですが。

*3:被占領国であったという認識が、産経論説委員の主流にはないのかもしれませんが。

*4:ちなみに枝野氏は最近までチベット議連の会長を務めダライ・ラマ14世猊下とも面談し、また台湾(中華民国)やモンゴルとの交流にも熱心で、反中派と言っても間違いではありません。ただその理由は、中国政府による人権侵害に真剣に反対しているからであって、産経イデオロギーとはまったく別の理由からです。