黙然日記(廃墟)

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産経の底の深さ。他。

 昨日のエントリで、産経「主張」が検察の捜査権の濫用を戒めるようなことを述べながら、そのあとで検察の弱腰を責めるようなことを書いているので、なに言ってんだこれ、と放り投げてしまったのですが、コメント欄でGI17さんから、これは捜査権をどんどん濫用して冤罪でいいから起訴しろという意味ではないか、というご指摘をいただいて、なるほどと。産経ウォッチャーとしての底の浅さを痛感しました。

【主張】小沢幹事長不起訴 政治責任を改めて問う 国会は証人喚問で疑惑解明を - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/354031/

 てなわけで5日付「主張」です。小沢氏は監督責任を認めたのだから、「石川知裕容疑者らの起訴で責任は明確になった」のだそうですが、まだ有罪は確定してないって、何百回言えば通じるんでしょうね。
 そして昨日に続いてこちらでも「期待を裏切った検察」とか「小沢氏の違法行為を立証できず」とか「権力中枢の人物の違法行為は見逃された」とか、(産経の)期待どおりに証拠捏造でもして起訴しろという、なんでこんなのが堂々と社説として掲載されているんでしょうねえ。つーかこのへんの記述は、いつ小沢事務所から民事訴訟を起こされても文句言えませんよ? 

政党の「無気力」が国家を亡ぼす - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/353654/

 遅れましたが井上寿一氏による4日付「正論」です。戦前の自由主義政治家である斎藤隆夫の事績を引いて現代の政治家に苦言を呈しているつもりらしいですが、必然性のまるでないこじつけばかりで、よくこんな駄文が書けるものだと驚きました。
 四つの点が挙げられているのですが、特にその第三点、斎藤は国際政治の潮流から内政案を立てていたが、今の政権は逆だという指摘は、なんなのでしょうか。内政や連立の都合で反米姿勢を取っている、と言いたいらしいのですが、どう考えても逆ですよね。1990年代の約10年間で米国一極集中といわれていた流れが21世紀に入ってから反転し、反米、あるいは少なくとも米国と一定の距離を置く(相対的に中国に接近する)流れが存在していること、「テロとの戦い」からイラク戦争・アフガン紛争への動きもむしろその潮流への対抗措置であること。また別の面で、斎藤が傾倒した社会民主主義が、同じように米国一極集中下での新自由主義礼賛への見直しから復活していることなど、いくらでも挙げられるのですが。少なくとも、井上氏に世界情勢の分析がまったくできていないことは確かなようです。
 他の三点も、民主主義政治家の先人に対する評価としては納得できる部分もあるのですが、現代との比較に意味がありません。たまたま斎藤日記を読んだところにこの原稿の締切がきて、苦し紛れにそれを時事評論に結びつけただけという印象です。

【小沢氏不起訴】ほくそ笑むのはまだ早い (1/3ページ) - MSN産経ニュース
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 他の方が拾ってくだすったネタ。一見なんということはない、近藤豊和社会部長によるいつものような産経の小沢叩き記事で、ふつうに朝刊にも掲載されたのに、なぜか早朝のうちに消えてしまいました(貼り付けたアドレスはGoogleのキャッシュなので、Web魚拓と違ってすぐ消えます。保存はお早めに)。なにが問題なのか、読んでみてもさっぱりわからないのですが、なんなんでしょうね。自民党議員を同類として切り捨てているところか?という推測ぐらいしか出ていないのですが。