黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「正論」のあの人。

核密約」問題、重視すべきは「日米合意」の履行 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/353304/
当時の世論調査によると、日本のかなりの人たちがライシャワー教授の説明を信じた。つまり、日米同盟と米国による核の傘を支持していることがわかったのである。

 3日付「正論」は、(米バンダービルト大学日米研究協力センターのジェームス・E・アワー氏です。この人は産経の紙面に登場するたび名前が変わるのですが、どういうわけでしょうねえ。ミドルネームが入ったり入らなかったり、防衛庁汚職で報道の対象になったときは「ジェームズ」と表記されたり、古森義久氏の文章では友人として「ジム・アワー氏」になったり。その仲良しさんの古森氏の名前が、この「正論」にもしっかり登場して、業績がアピールされています。ただし、ライシャワー発言スクープは彼が毎日新聞に在籍していた時代の仕事なんですが、その点は伏せてあります。
 そして引用部に続くわけですが、日本語になってまねんねぇ。ていうか英語にもならないでしょう。「核持ち込みを(日本政府は隠蔽しているが)事実だと思う」のと、「それを支持する」のでは、まったく別の話です。米国人にわかりやすい例を出せば、ホロコーストの事実を認めるのと(認めない人もいるわけですが)、それを支持するのが別の話であるのと同じ理屈で、別の話です。
 アワー氏は、「核密約については意味を失っているのだからいまさら追求するべきではない」というスタンスのようですが、核密約そのものの存在は否定していません。まあ、それを否定すると盟友古森氏の最大の業績を否定することになってしまうわけですが、そうでなくても否定する方がどうかしているので、今現在、世界中で日米核密約の存在を否定しているのは、日本国外務省の公式見解ぐらいじゃないでしょうか。それも現在の外務大臣は否定的なのですし。
 あとは例によって対中接近の否定と集団的自衛権普天間基地移設問題ですが、「普天間」という名前は数カ月前までは日本人も米国の日本研究者もあまり知らなかった」つーのは、あんまりじゃないですかね。米国の研究者約1名がぜんぜん知らなかっただけじゃないのかと思います。軍出身の日米関係研究者が基地問題の重大なトピックである普天間基地問題を「知らなかった」というのは、これはなかなかすごい話ですね。