黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の愚かしさ。他。

子宮頸がんの予防に大きな光明 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/346164/

 中原英臣・新渡戸文化学園短期大学学長による「正論」です。医療専門家が新聞紙面で癌の早期発見・予防を呼びかけるのはたいへんけっこうなことですが、この文章を「正論」と題するのはどういうものでしょうか。子宮頸癌はかつて60代で発症することが多かったのに、最近は30〜40代での発症が増えているという事実に対し、中原氏はその理由を性体験の低年齢化に求めています。60代→30代に移行したということは、性体験が30年早まったからという計算になります。かつては女性が20代で結婚するのが普通でしたから、それが30年早まったということは、マイナス10歳で性体験する女性が増えたという計算になりましょうか。もちろん、若い時期にHPVに感染した方が症状の進行が早いということはあるのでしょうが、そうした説明がまったくなくてこんなことを言われても、たいていの人は唖然とするばかりです。
 いちおうこの文章は、「あの産経オピニオン欄に載ったもの」という先入観に反して、性体験の低年齢化にモラルとか倫理とか純潔とかは持ち出していません。医学的な予防対処法の提言のみであることは記しておきます。

補給支援打ち切り 国益を失う愚かしい選択 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/346162/
 テロとの戦いからの日本の離脱である。日本にとって重要な海上交通路の安全確保からも手を引く。

 無料ガソリンスタンドと、それが支援してきた海上活動の意味をまったく理解していない、愚かしい言説です。海上警戒の目的はテロ組織の海賊行為撲滅ではなく(そんな報告はありません)、テロ組織の海上連絡路を断つことです。たまたまというか近くの海域で海賊行為が頻発していますが、これはテロ組織によるものではなく民間経営の海賊で(両者の接触が危惧されるところですが)、こちらへの対処は別に行われていて、いまのところ日本国が撤退するという話もありません。また、海上補給の年間の費用を「約70億円」としていますが、福島瑞穂氏によれば*1約7年間で約704億円とのことで、ここでも愚かなことを言っています。まあ、こうした詭弁を弄する機会もこれで最後になる、と考えるのが普通ですが、今後も何かあるたびに、この話を蒸し返してくるんでしょうねえ。