黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、保守主義を否定する。他。

【主張】教員の資質 競争と評価で鍛え上げよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/344835/

 やっと【主張】のタグが戻ってきました。もうね、ここで毎回いちいち「12日付の『主張』です」って書くのに、うんざりしていたんですよ。って、これでまた明日から元に戻ってたら大笑いですけどね。
 さて、その12日付の「主張」は、教育関連がテーマです。もちろん、安倍内閣教育再生会議の方針を維持せよ、民主党日教組の陰謀が以下略な内容となっています。……実はほとんど読まずにここまで書いてから、改めて本文を読んでみましたが、修正する必要はありませんでした(笑)。教員の負担減を求め評価を否定する日教組の要求とそれを受け入れた民主党の政策がどうたら言ってるわけですが、今の教員はあまりに多忙で負担が大きく、指導力向上のために勉強するどころじゃない、という現場の声を知らないのか、それともあえて無視しているのでしょうか。
 あとひとつ、「旧態依然とした指導法は通用しなくなり、マンネリ化した授業に子供たちが飽き、学級崩壊が起きるケースも報告されている」んだそうですが、学級崩壊って、マンネリ化した授業が原因だったんすか? 今年の小学1年生は去年の小学1年生とはまったく別の児童なので、同じだから飽きた、というわけではないでしょう。また、以前の児童には通用していた授業が今年は通用しなくなり学級崩壊した、という場合は、授業内容そのものより別のところに原因が求められるのではないでしょうか。実績のある指導法ならばそれを継続するのは、保守主義の原点であるはずで、これを産経が批判するのはおかしいですね。もちろん、いくら保守主義イデオロギーを掲げても、それが現実に適合せずうまくいっていないのならば、なにか工夫や改良をしなければなりません。「マンネリ」という言葉を「工夫なく同じようなことを続ける」という意味で使っているならわかりますが、それならば産経の論説は今日以後、「戦前の教育は修身があったからうまくいっていた」といった発言を一切やめてもらいたいものです。

「ニッポン」に統一し元気な国に - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/344832/

 「タバコ1箱1000円」論で世間の耳目を集めた笹川陽平氏の「正論」ですが、今年はこんな提案をしています。内容的にはわりとどうでもいいんですが、前回のようになぜか注目を集めるかもしれないので、メモしておきます。そういえば、笹川氏の役職が日本財団(Nippon Foundation)会長、フジサンケイグループのラジオ局がニッポン放送日本会議以下その手の団体も“ニッポン”がお好みのようですね。
 漢字というのは、日本語では音読みと訓読みがあることはもちろんですが、音読みや中国語読みにしても様々な発音があるところに、面白さと奥深さがあります。まさに「本」という漢字に関して、それこそ小学校1年生のときに「一本、二本、三本」という3種類の読み方を学び、ある種の感動を味わった記憶があります。多様な読み方を許容することが日本の漢字文化の特徴なので、「JAPAN」を「NIPPON」または「NIHON」に改めるというのは理解できるとしても(「ビルマ」と「ミャンマー」のようなことになるかもしれませんが)、国内での読み方を統一する必要はないだろうと思います。
 ひとつ指摘すると、笹川氏は「「日本」の古い中国語読み「ジッポン」がJAPANの語源とされ」としていますが、これは音読みのうちの漢音であって、時代にかかわらず中国語読みとは違います。中国語の発音が時代によって変化するように見えるのは、王朝交替で首都の位置が変わることにより、その地域の発音が標準語とされるためで、同じ方言なら音価の違いはあまりないとされています。西安語の(漢音の元になった発音でもあるのですが)「ジーベン」が西洋に伝わって「ジパング」「ジャパン」その他になったと考えるのが妥当ではないでしょうか。