黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「主張」、幼児化する。他。

 4日分と5日分です。

安保改定50年 自らリスク担う国家を 日米同盟の空洞化を避けよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/342051/

 いきなり自分語りで恐縮です。あいかわらず細々と同人誌活動も続けているわけですが、この世界では読者側から「俺の萌えツボはこれこれこうだから、もっとそういう作品を出してくれ」という感想をいただくことがあります。感想をいただけるのは本当にありがたいし、たまたま次回作のヒントになることがあれば(たとえば「ノーマルもいいけど百合も描いてくれ」とか)採用することもありますが、それがあまりに無茶な要求を押しつけるもの(「ノーマルじゃなくBLを描いてくれ」とか)だった場合には「こちとら、お前の萌え製造機じゃねえんだと断っていいことになっています。作家には作家の考えがあって創作活動をしているので、技術面などでの批評やアドバイスは有難く拝聴しますし、「自分はこのテーマが嫌いだ」と言われるのもしかたないのですが、描きたいテーマを強要されるいわれはありません。もちろん、純粋に趣味の世界の話ですが。
 さて4日付「主張」は、まだ正月気分らしく2本分のスペースで、政権にいろいろと注文をつけています。日米同盟教の布教活動という以上に、政権という親や大人に対して自分の要求だけを無制限に並べる、なにやら幼児的な印象さえ受けます。「ゆでたまご先生、ボクの考えた日米同盟超人です! ぜったい登場させてください!」とか。もちろん、登場させるかどうかを決めるのは、先生と編集部です*1

首相年頭会見 「正念場だ」指導力みせよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/342384/

 5日付「主張」ですが、上の4日付と区別が付きません。首相年頭会見にご不満のようです。なにが不満かといえば、「日米同盟の根幹」である普天間基地移設問題と、改憲への取り組み。ほとんどこれだけです。日米は軍事同盟だけの関係ではありませんし、改憲より経済や生活がまず優先されることに、いったい何の問題があるんでしょうか。

日英同盟」廃棄の轍を踏むな 平成22年の初めに - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/342409/
 何を思い悩んでいるのか。日本は世界最大の覇権国家米国を同盟国としているではないか。

 5日付「正論」は見出しだけで、ああ、渡辺利夫拓殖大学学長だな、とわかってしまいました。いやあ、威勢がいいですね。こんなに威勢のいい売国もひさしぶりに見ました。「日本にソビエト国家建設を!」とか、そのへん以来。「覇権を握る」などならともかく、「覇権国家」という表現は、あまりいい意味では使わないような気がするのですが、渡辺氏の感覚ではそうでもないのでしょうか。アングロサクソン国家との同盟が日本にとって最大の国益、というのが渡辺氏の持論ですが、日英同盟を分断したのは米国だというここでの解説が正しいなら(そんな単純な問題ではないと思うのですが)、アングロサクソン国家が向こうから敵対してきたわけです。渡辺氏の「新・脱亜論」には、英米崇拝の人種コンプレックスを指摘するほかに*2、結果論でしかない、という批判も可能だろうと思います。また、結果論を許容した上で日英同盟廃棄とその後の歴史から学べることは、日本は孤立の道を歩まず特定国との同盟にも頼らず、より多くの国と親交を結ぶべき、という点ではないでしょうか。

考えはどこに 「面白いかどうかで決めるだけ」気分が選挙を制する! - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/342229/

 見落としていましたが、1日から連載企画【キブンの時代】が始まっています。07年の【やばいぞ日本】、08年の【溶けゆく日本人】の続きというか焼き直しというか、そんな感じでしょうか。それにしてもこの連載タイトル、正月からカマボコ屋さんに喧嘩を売っているようで、あまりよろしくないですね。
 第1回をとりあえず読んでみましたが、テーマがいくつもに分裂しており、小見出しで区切るという工夫もされていないので、読みづらいったらありゃしません。昨年の総選挙でテレビが煽ったことによる民主党に投票が集中したことと、トマト鍋やリサイクル商品のブーム、ネット上でDQNを叩く「祭り」について書かれているのですが、郵政選挙自民党に投票が集中したこと、それがメディアの煽りによるものだったことへの反省はまるで見あたりません*3。トマト鍋にしても、ブームを仕掛けて商品を売り込むのは食品業界では当たり前の手法で、なにをいまさら言っているんだ、としか思えません。一昨年あたりはカレー鍋、その前にキムチ鍋がありましたね*4
 後半の「祭り」について、「「バカ親」など見ず知らずの人に言える言葉ではない。」と、これはまったく正当なことが書かれているのですが、以前の連載企画で見ず知らずの人に「モンスターペアレント」という言葉を言った産経新聞が、いったいどれだけ高い棚を心に作ってこれを書いたのでしょうかね。

「すでに二番底」「鳩山政権30点」 経営者から厳しい声相次ぐ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/financial/342699/

 経営3団体の新春祝賀パーティーで、厳しい声が相次いだのだそうです。しかし紹介されている発言を一通り読んでみると、そんなに厳しい発言ばかりではありません。さて、会見での3団体代表の発言と、年初の株の値動きを見てみましょう*5

経済3団体が年頭会見 「日経平均1万2000円、1ドル100円も」 - NIKKEI NET
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100105ATFL0506305012010.html
世界的な景気回復基調を背景にそろって明るい見通しを示した。

東証大引け、続伸で連日高値 円上昇も米景気回復期待が上回る - NIKKEI NET
http://www.nikkei.co.jp/news/market/20100105m1ASS0ISS16050110.html

*1:言うまでもなく、商業誌と同人誌ではいろいろ事情が異なっており、萌えや超人を登場させない理由はそれぞれ違うわけですが。あと、『キン肉マン』では日米超人がタッグを組んむという展開が一つの重要な要素だったりして、ここで比喩に出すといろいろややこしいのかもしれませんが。

*2:これはレイシストのレッテルを貼っているわけではなくて、渡辺氏自身が「アングロサクソン」を強調しているのです。

*3:第2回ではいちおう公平に触れられています。 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/342249/

*4:余談ですが、来年はホワイトソース鍋かマヨネーズ鍋が仕掛けられそうな気がします。料理にマヨネーズを使うのが大嫌いで見るだけで気分が悪くなるので、できればこんな予想は外れてほしいのですが。

*5:今回の株高は原油高に引っ張られているので、そのうちまた厳しいことになるかもしれませんが。つか、国内の政策より海外市場の影響の方が大きいのも、いまさらですけどね。