黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経批評の滞貨一掃。他。

 このエントリが今年最後になるので、滞貨一掃処分です。この1年間、閲覧者の皆様(と産経新聞社および関係者の皆様)にはたいへんお世話になりました。お礼申し上げます。来年が、皆様にとってよい年でありますように祈っております(特に産経新聞社に)。

心理学が解明した鳩山“マザコン”総理の正体 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/other/340854/

 月刊誌「正論」2月号に掲載された林道義氏の文章を紹介する、12月29日付のパブリシティ記事です。自称・深層心理学者の林氏が挙げている「マザコンの特徴」、特に(1)(2)は、どう見てもファザコンの特徴です(たとえば山谷えり子参院議員など)。元の雑誌掲載文章を読んでいないので(読む気もないので)、どのような意味でこの言葉が使われているのかはわかりませんが、心理学ではふつう、「マザコン」「ファザコン」といった用語は使われず、エディプスコンプレックスまたはエレクトラコンプレックスの概念、あるいは共依存などの概念が使われます。エディプスコンプレックスは精神分析学の基本概念なのに、日本語では略称がないほど知られていないので、場合によってはわかりやすい「マザコン」という言葉を使うことも許されるでしょうが、学者として真摯な姿勢とは言えませんし、この記事を見る限りではそういう用法とも思えません。
 この分析が鳩山由紀夫氏に当てはまるなら、父親の鳩山威一郎氏よりも祖父の鳩山一郎氏が「ファーザー」なのでしょうが、当たっているとは限りません。むしろ(1)〜(4)の特徴をすべて含めて、「ファーザー」としての祖父に依存する有名政治家なら、他にもっと適切な例があったように思います。(世襲政治家の弊害は、こういうところにも出ると一般論として考えます)。

福島香織のあれも聞きたい】山谷えり子氏インタビュー(1) (1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090801/plc0908010801005-n1.htm

 ページを開くといきなり山谷氏のアップ写真が出てきますので、心臓の弱い方はご注意。じっと見つめるのも、胃の弱い方はやめた方がいいかもしれません。わたしがやってみたら胸がむかむかしてきたので。
 必ず取り上げるとか言っておきながら8月1日からずっと宿題にしていた間に、政権は交代し福島記者は退社してしまいました。いや申し訳ない。ブラウザでこの記事のタブをずっとそのままにしてあって、決して忘れていたわけではないんですが。
 したがって、今の視点からこのインタビューを見ることになってしまいますが、「民主党北朝鮮に友好的」なる点が最初に強調されているのに、今はそうした批判を(自民党側から)まったく聞かないですね。並べられている日教組との関係も、同じく聞きません。山谷氏は自民党の広報局にも加わっていて、因果関係は明確にはなっていませんが、このインタビューでの極端な日教組批判とまったく同じ趣旨の怪文書 政策チラシが選挙期間中に配布され、話題を呼んだのは記憶に新しいところです。ていうか、このインタビュー自体が怪文書的な内容で、掲載された日の産経新聞は「100円の怪文書*1ですね。
 拉致問題を(巣食う会的な立場で)ずっと支えてきたのに、マスコミが動かなかった、世論が動かなかったと愚痴っているのですが、山谷氏は1980年代半ばから2000年の初当選まで、マスコミ側の人間(リビング新聞編集長)でしたよね? 「日本最高部数の主婦向けフリーペーパーの元編集長」を自称しているのに、なにもできなかったんでしょうか? メディア関連でもう一つ。「過激な性教育」に関して記者発表したとき、ほとんどのメディアが会見に来たのに、まともに報道したのは「週刊新潮」と「産経新聞」だけだった、と愚痴っているんですが、相手にされてなかったんだよ。
 このインタビューの中で、「今は、自民党政権ですけれど、それでも日教組の人たちは〔中略・教委等に人を〕送り込んだりしているので、今でもなかなか、私たちのやりたい教育ができない」んだそうです。すでに政権交代が確定的だった時期にこんなことを言ってるってことは、民主党政権下ではその思うままに教育がされても文句は言いません、ってことですよね? 
 そのあとも、「道徳教育」とか「過激な性教育」とか「ジェンダーフリー」とか「子守歌」とか「日本人の美徳」とか、いつもの調子なわけですが、山谷氏のいうことにいちいちツッコミを入れていったら今年が終わらないのですが(けっこう長い、全9ページのインタビューです)、福島記者も少なくともここでは、調子を合わせて山谷氏に言いたいことを言わせていますね。インタビュアーとして、また産経の記者としては優秀な人だとは思います。首相ぶら下がり取材で「産経ネタ」という概念を世に知らせたのも、当時首相番だった福島記者がそういう質問をしていた、ということの裏返しですしね。社の方針に合わせているだけだったのか、彼女自身の意志もあったのか、今後が注目されるところです。

天皇陛下にも非礼な会見 正視に耐えぬ現政権「朝貢の図」 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/336549/

 12月17日付「正論」、いつまでも“初代室長”の気持ちを忘れない佐々敦行氏です。15日の朝刊を読んでから書かれたものらしく、それで17日系サイトいうことは、よほど書き飛ばした内容だろうと思ったら、案の定でした。このテーマは、かなりいまさらになってしまった観もありますが、それにしてもアラが目立ちます。
 いくつかの論点を挙げて、この騒動が「天皇の政治利用」だと断じていますが、さて。まず、小沢幹事長が羽毛田長官に辞表を求めたのは、公務員として筋を通せ、という意味なのは明らかです。だから「辞任せよ」ではなく「自分から辞表を出せ」なのであって、誰もそんなことは言っていないものを叩くのは、佐々氏や産経文化人全般の得意技、そう、藁人形論法ですね。今上の信任を受けたという理由で長官への悪口雑言が許されないなら、天皇の認証を受けた内閣に罵詈雑言を飛ばしているのは、いったい何のつもりなんでしょうか。天皇の国事行為・公的行為の重要度を決めるのはない核なのか、とも難じていますが、内閣じゃなければ誰が決めるのが妥当なのですか。小沢氏が「(自民党支配からの)解放軍の総司令官」と自己紹介したことに、米国から見れば「占領体制からの開放」と思われるのではないか、という心配をしているのはこれは、自民党支配=米国占領体制の継続と佐々氏は理解しているということにしか思えません。
 「おいしいものは最後までとっておく」性格なので、面白いに決まっているこの佐々氏の「正論」を半月延ばしにしてして滞貨一掃の最後の一口にしてみましたが、思った以上に「ごちそうさま」という印象でした。それでは皆様、よいお年を。

デザート。

 と締めくくったはずだったのですが、産経のネタ提供能力を甘く見ていました。最後になってこんな新ネタが飛び込んでくるとは。

産経新聞の嘘記事発見。 : ひろゆき@オープンSNS
http://www.asks.jp/users/hiro/65108.html

【疑惑の濁流】ブログ市長が窮地に “権力乱用”で阿久根市「非常事態」 (1/5ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/091231/lcl0912310702000-n1.htm Web魚拓

 2ちゃんねる創設者のひろゆき氏が、産経新聞の記事が捏造だと指摘しています。下はその元記事。竹原信一阿久根市長が21日には登庁を見合わせた、と読める記述がありますが、21日当日に市庁舎内で、市長とひろゆき氏は対談していたのだそうです。その対談が、扶桑社刊の週刊誌「SPA!」のためだったというのもなかなか皮肉ですね。

*1:最近の2ちゃんねるでの流行語。もちろんこの日のものに限りませんが。