黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

想いを届けるということ。

JAXA|「お届けします!あなたのメッセージ、暁の金星へ」〜「あかつき」メッセージキャンペーン〜
http://www.jaxa.jp/event/akatsuki/

 ふだんのエントリとはぜんっぜん関係のない話題です。なにかのメタファーということもなく、純粋に応援の気持ちで、あえてここで勝手に広報します。
 金星探査は火星探査ほど注目されませんが、これは大気層が厚く、探査が難しいために、プロジェクトの数そのものや目に見える(わかりやすい)成果に乏しいためかと思います。実は地球から見てもっとも近い惑星(月の次に近い大型天体)であり、質量や重力は火星よりはるかに地球に似通った、太陽系の中ではふたごと言っていいぐらいに近い存在です。約90気圧の大気は約96.5%の二酸化炭素と約3.5%の窒素を含みますが、これは原始地球の大気組成に近いものだと考えられています。この二酸化炭素のほとんどすべてが海水中で炭酸カルシウムなどに固着されるとともに光合成生物によって固定され、光合成の排出物である酸素が窒素の1/4程度になっていれば、現在の金星は地球の環境とかなり似たものになっていた可能性が高いとされています*1。しかし実際には、大量の二酸化炭素が平均表面気温400℃という環境をもたらしています。この金星の大気と環境が、地球環境を考える(という言葉はすっかり手垢が付いてしまいましたが、他の惑星との比較という意味で改めて考えてください)上でどれほど貴重な研究サンプルか。太陽系内で、つまり人類にかろうじて手の届く範囲で、唯一のサンプルなのです。そうした観点からだけでも、史上初の惑星気象衛星あかつきの価値は、おわかりいただけるのではないかと思います。
 テラフォーミングには火星より金星の方が向いていると思うんだよね。1億年ぐらいかければ。

*1:Wikipedia:金星#金星と地球の大気 の項目参照。