黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「主張」が露骨すぎる。他。

税制改正大綱 抜本改革の議論を始めよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/338901/

 23日の「主張」を取りこぼしていましたが、所得税各種控除の廃止を求める中で、「税の再分配機能を高めるため」とか言っているのは、いったいなんのつもりでしょうか。いや、わたしはその方向で賛成ですが、産経の基本的な主張と逆じゃないですかねえ。いや、子供手当の所得制限撤廃に関しても、再配分がどうとかいっていましたか。つまりは累進課税を強化しろって意味になると思うんですが、産経としてはそれでいいんでしたっけ? まあ、お金を持っている人から税金を取っても、取る方も心は痛まないし取られる方もたいして懐が痛むわけではないので、お互い気楽ですし。90億円だか持ってる人だと6億円でもなんぼでも払います、とかあっさり言っちゃえるわけですから*1
 消費税を増税しろとか言っているのは、いつもの産経の戯言ですが。「取れるところから取る」と「取りやすいところから取る」は、言葉としては似ていますが、内容はまったく違います。

地方へのバラマキ 選挙目当てが露骨すぎる - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/339146/

 24日付「主張」は、批判のための批判が露骨すぎます。最初は農家へのバラマキに文句をつけようとして、どうしても字数が足りないので高速道路関連を付け加えたという構成にも見えます。
 小沢一郎民主党幹事長の地方重視は、田中角栄元首相から学んだものでしょう。毀誉褒貶ある人物で、資金作りの方法については批判もされるべきだし、コンクリート中心の公共事業重視も現在では通用しませんが、地方の発展に力を入れてバランスの取れた国土開発を目指すという方向性は、たとえそれが選挙事情からきたものであれ、間違ってはいなかったと思います。これもたとえば、地方に新幹線を通すとストロー現象でかえって衰退することもあるわけですが、それを見通せなかった、という批判は無理があるでしょう。*2
 農業に関しては、大規模化すれば国際競争力ができると思っているあたりで、根本的になにかを間違えていそうです。現在日本が輸出競争力を持つ数少ない農産物に、リンゴなどの高級果物がありますが、あれは企業化した大規模農園で作ってるんでしたっけ。どこを間違えているのかは、わたしなんかが指摘しなくても、あめぽちの(枕詞)産経新聞自身の方がよくご存知ではないかと思います。

普天間問題 不信高める首相の「虚言」 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/339147/

 同じく24日の「主張」。鳩山首相の発言が、いわゆるブレているのはたしかですが、これを「『虚言』」「発言の軽さと迷走ぶり」と見るか「言を左右にして相手の要求をかわす老獪さ」と見るか、もちろんそこまで好意的に見る必要はありませんが、安倍元首相が(たとえば訪米時に慰安婦問題に関して)曖昧な発言をするたびに、「言質を与えないしたたかさ」みたいな評価をしていたメディアが、どっかにあったような気がします。つか、どういうわけかもう一方の「主張」とも関連してしまうのですが、外交というのはお互いがタフネゴシエイターだという前提で繰り広げられるゲームであって、米国の言うことをはいはいと片っ端から聞く必要なんかないわけですよ。鳩山氏をタフな交渉人と呼べるだけの条件が揃っているのかは、これはまた別の問題ですが。

*1:今日の会見をすべてまに受けることはできませんが、少なくとも本人は、本当に脱税の意志はなかったと思います。リスクに対してメリットがないですから。

*2:ついでにちょっと私見を述べると、高速道路を造るより、鉄道貨物料金に補助を出し、ターミナル駅周辺にコンテナ積み替え施設を作った方が、環境問題を含めた将来的なインフラ整備としては意味があるんじゃないかと思います。この四半世紀で捨て去ったインフラをまた造り直すことになってしまいますが。