黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「主張」、シャドーボクシングに励む。他。

 通常の18日分です。

常駐なき安保 国を守る意識が問われる - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/337030/

 18日「主張」。昨日のエントリ*1でさんざん書きましたが、日米安保条約は軍事支援と基地駐留を等価交換するものであって(ただし情勢により交換レートは変化します)、鳩山由紀夫氏が首相就任前に唱えていたという「駐留はいやだけど支援はしてくれ」というのは、日本側から言い出すかぎり、たしかに現実的には通りにくい意見でしょう。在フィリピン米軍が撤退した例もありますが、日本本土はともかく、東アジアの地理的中心にある琉球列島については、やはり困難です。基地駐留も軍事支援もない状況で、いかに軽武装で国防を果たすかが最終的なテーマですが、これはあくまで最後の目標です。長期目標(理想)と短期目標(現実)は、やはり区別して扱わなければなりません。
 前置きが長くなりましたが、首相が「あーそれは、政権の座についた現在は封印しときますよ」と言ったのは、要するにただそれだけのことです。小政党野党で理想論を述べるのが主な仕事だった旧民主党時代*2とは違いますから、長期目標と短期目標は使い分けますよ、という表明をしただけでしょう。今現在、「常駐なき安保」を掲げたなら、(それに反対する立場から)非難してもいいでしょうが、封印を明言され実際に影も形もなくなっている構想を批判することに、どれだけの意味があるのでしょうか。しかも15日のこの発言は、石破茂自民党政調会長がこの古い構想を蒸し返したことに対するコメントです。この石破氏の指摘がなければ、産経「主張」も鳩山氏のこんな発言は思い出さなかったんじゃないでしょうか。それを根拠に、現在の政策が十数年前の古文書に縛られているのではないか、と糾弾するのは、なんというか。20年前の助命嘆願署名を蒸し返すのと同じような感覚なのですかね。

都教委が3年かけ教員551人増員へ 「小1プロブレム」「中1ギャップ」対策 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/education/336773/

 都教委もたまにはいい判断をしますね。17日付産経のこの記事も、この増員決定を肯定的に伝えています。東京都の人口は日本全体の約1割ですから、小1プロブレムなどの解決、公教育再生のためには、全国で約5500人の教員増員が必要という計算になります。
 ではここで、11月27日付の「主張」をもう一度見てみましょう*3

義務教育費 日教組への甘い顔は困る - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/329154/
義務教育費国庫負担金は削減を伴わない見直しとされた。〔中略〕いずれも日本教職員組合日教組)の主張に沿ったものとなり、仕分け結果が公教育再生につながるか疑問である。
 義務教育費国庫負担金は、公立小中学校の教職員給与の3分の1を国が負担する制度で、文部科学省は来年度予算で5500人の教員増員を要求している。
〔中略〕安易に増員を許す政策は、来年の参院選を控え、支持団体の日教組へのリップサービスととられても仕方ない。

 はぁ? もういっぺん言ってみて? 

「狙われる仙台の夜 中国人犯罪集団「交通網充実」逆手に」のブログエントリ一覧 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/336585/tb/#Iza

 記事本体は調査報道的なもので、まあまあまともかと思います。気になったのは、iza!ブロガーが大好きそうなネタなのに、丸1日以上経過した現在でもトラックバックiza!内部から4件、外部から1件のみ、いずれも記事そのものとはまったく関係ないものばかりという点です。予想される嫌中的な内容でさえ1件だけでした。いや、ネトウヨのゲンキのなさをおちょくるとかじゃなくて、ここまでくると不思議です。「中国人は犯罪者!」と叫ぶことだけに熱心で、実際にどんな犯罪者なのかには興味がないのでしょうか。

民主党予算要望 透明性を欠く意思決定だ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/337029/

 これも18日「主張」。この批判は、大枠として当たっていると思います。あと1週間ぐらいは新政権に期待して批判は控えめでもいいと思うのですが*4、期待が(少なくともその一部、「早急に変革されるのではないか」という期待は)裏切られそうなことが確定的なようではあります。とはいえ、わずかでも改善している面はたしかにあるでしょう。地方からの陳情を、かつては自治体首長や議員、関係者が直接官庁や族議員に持ち込んでいたのを、すべて政権与党の幹事長室を通し内閣に伝えるというのなら、幹事長判断の比率が高くなり政策一元化には逆行するとしても、以前よりましとは言えるわけです。そうした面を評価しつつ、でも一元化できてませんよ? 制度設計の見通しが誤っていたんじゃないですか? まだ始まったばかりとはいえ、今後改善してくださいね? という形での批判はできないものでしょうか。いや、それをやってしまったら産経“民主党さんの思うとおりにはさせないぜ”新聞じゃなくなってしまいますけれど。

[opinion]鳩山政権100日を前に。

 先回りで弁明をしておきますと、わたしは「産経がおかしなことを書いていたら指摘する」立場というか趣味なので、産経が下野する以前はともかく現在は、現政権に対して結果的に擁護の立場に回ってしまうことが多くなります。「権力批判がブログを含むネット言説の役割」という信念は変わりませんが、政治的権力については後回しにして、マスメディアという権力(の中でも弱小勢力の産経新聞)への批判に特化することも、この方針には反しないものだと考えています。最近は、たとえば朝日批判のネット言説が驚くほど減って、産経批判はそれなりに(iza!内部ですら)増えてきているので、ある意味でここの役割は終わったのかなあ、とか思わなくもないのですが。まあ、肩肘張った主張ではなく、趣味のブログとしては続けますけどね(笑)。

*1: d:id:pr3:20091217:1261061799

*2:しつこいようですがここに補足すると、小政党野党というのは政権から非常に遠い存在なので、遠い目標である理想論を述べるのが仕事になるわけです。逆に政権に近づくほど、短期的つまり現実的な目標が必要とされます。あまり関係ないですが旧民主党は、「野党でも与党でもない『ゆ党』」とか言ってましたね。

*3:関連エントリは d:id:pr3:20091127:1259334146 。「リップサービス」へのツッコミは前回やったので略します(笑)。

*4:しかし「新政権は100日間批判しないルールが米国にはある」というのは、安倍政権がいきなり批判の嵐を受けていた当時に産経新聞が言い出したことのような記憶があります。