黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経が真っ赤っか。他。

 10日分です。

パンとサーカスでは乗り切れぬ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/334065/

 10日の「正論」欄に、八木秀次氏が登場したのかと思ったら竹中平蔵氏でした。「パンとサーカス」という比喩を前面に出し、「パン」を子供手当、「サーカス」を事業仕分けに見立てているところまで、まったく同じです。2日の八木氏の講演以前はこんな比喩はなかったと思うのですが。少なくともGoogleニュース検索では、こんなとんちんかんな比喩をしているのは八木氏と5日の「産経抄」とこの10日の「正論」、それになぜか7日付の東京新聞・豊田洋一論説委員のコラム*1だけです(個人ブログなどではいくつかあるようですが)。豊田氏のことはよく知りませんが、八木氏と竹中氏は同じ「正論」文化人といっても、反民主党以外にはほとんど接点を思いつかず、なぜ同時多発のようにこの比喩が立て続けに出てきたのか、どうにも不可解です。竹中氏が産経新聞を購読していて、八木氏の講演記事または産経抄にインスパイアされたということかもしれませんが、それなら読者も基本的に同じ紙面を読んでいるわけで、「この着想は先人によるもの」と一言断るのが、仮にも学者であるならば最低限の常識でしょう。これではインスパイアではなくインスパイヤです*2
 事業仕分けをサーカス(見せ物)として始めたように言っているわけですが、そんなアタマのいい人は民主党にいません。いたら、郵政選挙のときにももうちょっとどうにかしていたはずです。「仕分けが必要→できるだけ情報公開する→それなら会場も公開で→公開ならネット中継も」ぐらいの、ごく単純な発想にしか見えません。それがたまたま(というか国民のニーズに合致していたので)大ウケしてしまったのでしょう。
 事業仕分け作業を経たにもかかわらず、竹中氏は予算作成プロセスが不透明化したといいます。「予算の全体像」、いわゆる「骨太の方針」を公表してから予算を作成するべきだ、というのですが、いつ政権交代したか、覚えていますか? 4月に成立した小泉内閣とは違います。前政権が6月に出した「骨太の方針」から8月までに作成された予算案の骨組みを、いかに修正していくかが現政権の仕事になっています。抜本的に手を入れたいのは山々でも、ほんの1〜2割の事業仕分けだけでもスケジュール的にめいっぱいだったのです。小泉内閣のときから出されるようになった「経済財政の中期展望」で展望を示せるのか、と言いますが、空証文では意味がありません小泉内閣が示した展望は竹中氏が大いに関わって作ったものなのでしょうが、いったいどれだけ国民の生活を向上させたか。「景気が回復すればそのうち生活もよくなる」という証文を出されて、いったい何年待てばよかったのでしょうか。「戦後最長の好景気持続」でも、まだ短すぎたのでしょうか。その後にいたっては「景気を回復する、する」のするする詐欺でしかありませんでした。鳩山内閣がこの問題を解決できるかは、もちろん大いに疑わしいのですが、竹中氏にあたかも実績があるかのように言われたくはありません。

【40×40】河添恵子 世界に拡大「もう一つの中国」 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/china/091210/chn0912101021000-n1.htm

 一読すれば誰にでもこのコラムの劣悪さは理解できるでしょうし、2ヶ月ほど眺めていれば河添氏の名前を見るだけで劣悪なコラムであることはわかるようになるので、細かいところはいちいち取り上げません。ひとつだけ、カナダ・バンクーバー周辺に中国系住民が多いことを、いかにも共産中国政府の国策のように書いていますね。単に「中国系」と聞くと反射的に大陸中国を連想しますが、中国系カナダ人の大半は、この20年ほどの間に移住した香港出身者です。もちろん、1997年の香港返還を機に、共産中国の支配を嫌って同じ英連邦のカナダに移住した人々です。同じ印象操作手法を使ったデマを古森義久氏が盛んに使っていたので、ここでも注意しておきます。

産経、真っ赤。

 8日の岡田克也外相記者会見の話題で、すでにJ-CAST*3等で報じられているのでいまさらっぽいですが、記録しておきます。

外務省: 外務大臣会見記録(要旨)(平成21年12月)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/gaisho/index.html#3-B
フリーランス 岩上氏】実際に米側の当局者と最前線で触れ合って、米側の圧力というか、米側の要望の強さというものを肌で感じて、仄聞ではなく、大臣のお言葉として、「合意どおりに履行してほしい」という米側の要望の強さというものは、如何なるものなのか、ご説明いただけないでしょうか。4日にルース大使は、顔を真っ赤にして怒鳴り上げたとか〔中略〕
【大臣】議論の前提として、米側が圧力をかけているとか、そういうことは全くありません。〔中略〕ルース大使との議論も、誰かが見ていたようなことを書いていますが、全くの創作です。もちろん、ルース大使もしっかりと自らの主張を言われましたが、別に顔を真っ赤にするとか、怒鳴り上げるとか、冗談じゃないと思っております。私(大臣)、北沢防衛相、ルース大使と通訳しかいませんから、何を根拠にそのようなことを言っているのかと思います。〔中略〕
フリーランス 岩上氏】ルース大使が怒鳴り上げたというのは、誤報だということですか。
【大臣】(怒鳴り上げたという)そんなことはありません。

ルース米大使が日本側に激怒 岡田外相らの面前で大声張り上げる 普天間移設の年内決着断念で - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091205/plc0912050139004-n1.htm
(Web魚拓) http://s03.megalodon.jp/2009-1205-0456-44/sankei.jp.msn.com/politics/policy/091205/plc0912050139004-n1.htm

ルース米大使が日本側に激怒 岡田外相らの面前で大声張り上げる 普天間移設の年内決着断念で - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/332198/
 関係者によると、少人数会合に移った後、米国のルース駐日大使がそれまでの穏やかな語り口を一変させた。「いつも温厚」(防衛省筋)で知られるルース氏は、岡田克也外相と北沢俊美防衛相を前に顔を真っ赤にして大声を張り上げ、年内決着を先送りにする方針を伝えた日本側に怒りをあらわにした、という。
〔強調は引用者〕

 質問では一部報道とされていますが、どう見ても産経記事のことです。口調については「大声張り上げる」と「怒鳴り上げた」のニュアンスの違い、といって逃げるかもしれませんが、「顔を真っ赤にして」という表現も外相は明確に否定しているので、ここは言い逃れできません。さて産経は、顔を真っ赤にして恥じ入るのか、真っ赤な嘘を押し通すのか。たぶんよほどのことがないかぎりノーコメントでしょうけどね。
 関係ありませんが、省略した部分の外相発言に「やはり米国にもいろいろな人がおり、今の日本の民主党や米国の民主党をいろいろと攻撃し、その関係を悪くすることが望ましいと思っている人もいて、様々な意見が出てくるという話を聞いた」というくだりがありました。産経とは関係ありませんが。関係ないですよね。ええ。

今日の名言(IDにも注目)。

632 名前:文責・名無しさん [sage] 投稿日:2009/12/10(木) 19:56:32 ID: 3Kcx9YRYO
日本列島は日本人だけの所有物じゃありません 
特に沖縄はアメリカ様の所有物です 

*1: http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2009120702000084.html

*2:両者の違いについてはkeyword:インスパイヤの解説参照。もう廃れた表現ですけどね。

*3: http://www.j-cast.com/2009/12/08055725.html