黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経の新ニュースサイト。他。

 二十日ぶりぐらいにやってしまいましたが、9日付エントリです。

SankeiBiz(サンケイビズ):総合経済情報サイト
http://www.sankeibiz.jp/

 フジサンケイビジネスアイ(FujiSankei Business i.)はまだ新聞として続いていますが、ニュースサイトが「SankeiBiz」としてリニューアルしました。ブルームバーグとの提携以来、高級化路線をとっている(無理があると思いますが)ビジネスアイに対して、サンケイビズは間口を広く、ということなんでしょうか。これが成功すれば、MSN産経ニュースの経済記事を読む人が今まで以上に減ると思われますが、もともとポータルサイトのMSNにはニュースページ(http://sankei.jp.msn.com/)の他にマネーのページ(http://money.jp.msn.com/)があるので、MSとしても産経の経済記事には期待していないでしょうし。

米朝高官協議 日本は米韓と結束固めよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/333594/

 9日付「主張」は、核問題を話し合うために米国の特別代表が北朝鮮を訪れ交渉を開始したことを受けて、拉致問題も含めた包括的解決を目指せ、と話をすり替えています。いや、それはまあ、いいでしょう。まだいいと思います。そのためには日米韓協力が必要だというのも、当然です。しかし、そこに鳩山政権が米国に従わないから不安だ、とか、いいかげんにしてほしいものです。日米同盟教の支店からは、現政権の行動が一事が万事と見えるのかもしれませんが、問題の切り分けができていません。切り分けができないほど愚かなのは産経「主張」の勝手ですが、米国も同レベルの愚かさだと決めつけるのは、同盟教の教義に照らして、どうなんですか? 

マニフェストに適さぬ対外政策 対米での「機会」を逃す - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/333596/

 櫻田淳氏による、9日付「正論」です。
 雪斎翁*1の言も、一面において正しいと思います。マニフェストに書いて国民に約束したことは、政権の行動を最大級に束縛しますから、相手の出方によって容易に状況が変わってしまう外交案件について、うかつな「約束」はできません。「拉致被害者を絶対に生還させる」と書いてしまったら、絶対に生還させなくてはならなくなります。「拉致問題解決に最大限の努力をする」までしか書けない性質のものです。最近の産経「主張」は、「マニフェストなんか無視して基地移転問題に(あるいは経済政策に)対応しろ」とさかんに唱えており、実際にそれをやれば口を極めて「ウソツキ政権」と攻撃するのは目に見えていますがそれはともかく、政治家と国民との、選挙を通した「約束」の重みをここまで軽くしてしまったことこそ、自民党政権の罪だったのではないかとも思います。きちんと国民の支持を受けた最後の自民党首相だった小泉純一郎氏が、「そのぐらいの公約を破ってもたいしたことはない」と国会答弁で公言したことを思い出します。
 話が逸れましたが、マニフェストに具体的な外交案件を書くことは、政党にとって危険です。しかし、外交に関して大づかみでも方針を示さなければ、政権公約としては機能しません。国家を預かる政権において、外交こそが最大の仕事です。「小さな政府」または地方分権を極めていっても、中央政府に最後に残る仕事は外交と軍事であることは、当然の前提とされています。外交方針抜きの中央政府は考えられません。軍事を放棄する、外交を放棄する(鎖国する)という選択肢をとることも含めて。日本の近世史において、地方分権を徹底し外交をぎりぎりまで絞り込んで、中央政府は軍事面を含めた地方政権のコントロールに徹して、成功した例があります。国際状況の大幅な変化(主に阿片戦争以後の状況)によって限界を迎えましたが。
 現在(まで)の日本国における日米同盟路線は、おおざっぱに吉田茂によって作られたと言ってもよいでしょうが、吉田には日米同盟・単独講和という「方針」があり、それはビスマルクの警句のように3年以内の範囲ではなく、10年、20年の視野を持っていただろうと思いますし、実際に60年続いているわけです。同盟維持というのもひとつの外交方針です。それをシメされなければ、そもそも国民に選択の材料が与えられず、政権を選択できる民主主義国家として成り立ちません。一方、「方針」や「理念」に縛られて教条主義に陥り現実の成果を得られないことは戒められるべきですが、「現実」と称するものにとらわれすぎて目先の実利だけを追った結果もまた、憂うべきものではないでしょうか。現実主義、(「真正保守」ではない)本来の意味での保守主義は、実績を重んじて変化を拒みます。それがうまくいくのは、周囲の状況が変わらないときだけです。江戸幕府がそうだったように。

*1:櫻田氏のハンドルネーム(「翁」は敬称)。どーでもいいことですが、辞書登録するのが面倒で「雪斎」と表記するときは毎回「ゆき」「さいとう」と入力して最後の「藤」を消しているのですが、もしかしてそーゆー由来なんですか?