黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、他人の仕事をチップにする。他。

【正論】「12月8日」に寄せて 学習院大学教授・井上寿一 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091208/plc0912080254000-n1.htm

 はい。イザ!では「正論」欄の見出しがどんどん短くなっていることを昨日ご紹介しましたが、今日はついに見出しの長さがゼロになりました。というか記事そのものが配信されていません。
 内容的には、昨日の新保祐司氏よりはましですかね。日米開戦は回避可能だった、「自衛戦争」だったとしても勝ち目のない戦いに突っ込んでいったのだ、ということを指摘していて、井上氏にしてはまともだと思いましたが、最後の段落でなんだかなあ、と。全体戦略の欠如が無謀を生み、大衆民主主義が東条英機を開戦に後押しした、という指摘は、やはり教訓としては耳を傾けるべきものがありますが、現代に結びつけるところが無理矢理すぎます。

普天間問題 外相は職を賭し説得せよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/333212/

 【主張】のタグがないので、見出しの最初の5文字で結論までわかってしまうというのはメリットかもしれません。
 いきなり岡田克也外相に「職を賭せ」と勧めていますが、他人の職だと思って勝手なことを言ってますね。それを外相本人に向けて、論説委員の職を賭して訴えてみたらどうでしょう。業界的なステイタスも低く安月給で有名な*1産経新聞社の職なら、惜しくないでしょ? まあ、「テロ特措法延長に職を賭す」と公言しながら*2その三日後に、国会運営のちょっとした行き詰まりまたは死ぬほどの病気でもない体調不良を理由として、まだ審議中だったテロ特措法をおっぽり出して辞任してしまったどこかの元首相をいまだに崇拝している産経ですから、岡田外相も彼を見習え、ということなのでしょう。
 なぜ産経がここまで岡田外相に期待するのかといえば、「現状では岡田氏が同盟の危機回避へ早期決着を主張する唯一の存在だ」からだそうですが、いままでの「主張」欄はずーっと、岡田氏の日米関係見直し論や米国抜きの東アジア共同体論に、罵倒と言っていいほどの非難を浴びせていましたよね。岡田氏がなぜ早期決着を望むのか、理念は理念、現実は現実という判断なのか、外務省官僚の意向に操られているのかはわかりませんが、たまたま自社の主張に都合のいい発言をしたからと言って、いきなり過剰な期待を持ちかけるのも見苦しいし、ましてそれが「職を賭し」ですからね。ついでにそのまま辞任してくれたら都合がいい、ぐらいに考えているのだろうと思います。

*1:もっとも、一般社員の安月給は知れ渡っていますが(ただしこれもマスコミ業界レベルなので、多くの中小企業よりは恵まれているはずです)、論説委員は部長待遇かそれ以上のクラスなので、たんまり貰っている可能性もあります。

*2: http://jp.reuters.com/article/newsOne/idJPJAPAN-27788520070909