黙然日記(廃墟)

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古森義久氏、棒を大にする。

【あめりかノート】ワシントン駐在編集特別委員・古森義久
 ■中国パワーにかすむ日本研究
http://sankei.jp.msn.com/world/america/091203/amr0912030236001-n1.htm

中国がアメリカでの日本の研究や学習を圧する - ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/1350047/

 中嶋峯雄氏が学長を務める秋田県国際教養大学でのフォーラムに、古森氏がパネリストとして参加してきたそうです。どうでもいいけど同大学サイトの告知ページ*1を見ると、古森氏の肩書きが「産業経済新聞・ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員」になっていますが、産業経済新聞産経新聞サンケイ新聞)への題号変更は半世紀も前の話だし、古森氏が論説委員でなくなってから(少なくとも紙面でこの肩書きを使えなくなってから)もう1年以上経つように思うのですが、イベント参加の際にちゃんと自分の身分を伝えなかったのか、古森氏とは従米仲間のはずの中嶋学長はそのぐらいのことをチェックしなかったのか、不思議です。国際教養大学といえば、外国人教師が多いことはもちろん、九月新学期で全講義が英語によるという拝米コンプレックス丸出し 国際色豊かな大学であることは、何度か紹介したと思います。ここで、日米関係に関する会議が行われたということです。
 この会議ではユタ大学教授のロナルド・レベナー氏が*2、米国の大学・大学院における日本研究コースの数が、ピークだった1995年から4割強まで激減したこと、その主な原因として、日本経済への関心の衰退とともに、中国政府の意向を受けた団体が中国語や中国文化の寄付講座を多くの大学に設けたためだ、と報告したそうです。古森氏にしてみれば、日米関係の一大事、中国の侵略を許すな! てなことなんでしょうが、寄付講座が増えたからといって、隣接分野の講座が自動的に経るものなのでしょうかね? 米国は少子化どころか人口増に悩み、留学生受け入れも相変わらず活発なので、入学定員を減らす必要も(各大学の事情にもよるでしょうが)そんなにはないだろうと思います。だいたい、日本関係の講座が約250から約100に減少したのに対して、中国政府の対外団体によって設立された講座は約40とのことで、とてもそれだけでは説明がつかない、というか、原因のごく一部、針小棒大だとしか言えません。
 米国の関心が中国に向く、米国の大学も日本政府も金はない(出せない)が中国政府は対外イメージ向上に金を使っている、というのは、わりと大きな流れで、一回の新聞記事や大学の国際会議で食い止められるものではないでしょう。少なくとも、新自由主義経済を是認する立場からは、文句が言えないだろうと思います。

*1: http://www.aiu.ac.jp/japanese/news_bak/event/news_bak091111.html

*2:ユタ州モルモン教の総本山があることで知られますが、ユタ大学自体はいちおう宗教的中立です。関係者個人の信仰まではわかりませんが、レベナー氏の名前でぐぐってもそれらしい情報はありませんでした。