黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「主張」の常識を超えた教育論。他。

「国の長期的方向付け」こそ肝要 「常軌を逸した」やり方 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/330992/

 佐伯啓思氏による今日の「正論」です。昨日の屋山太郎氏とはうってかわって、とにかく行政刷新会議事業仕分けが気にくわないようです。仕分け作業の内容そのものに納得できないというより、国民の圧倒的な支持を受けていることと、それがまるで小学校の学級会で優等生の女の子が「官僚君はいけないと思います!」と先生に言いつけるかのような雰囲気なのが気に入らないらしいのですが、んなこと言ってもねえ。ポピュリズムで世論が一斉に動くことに危機を感じるのはたいへんよくわかりますが、それならそれで、もうちょっと言いようってものがあるんじゃないでしょうか。
 見出しが内容をまったく表現していないのですが、これは編集部がつけたのかなあ。

【主張】小中高の暴力 徳育をおろそかにするな - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/education/091202/edc0912020257000-n1.htm

 統計によれば小中高校での暴力行為が増えている、こーゆーのは規範意識が低下しているからで、毅然とした指導で解決できる、のだそうです。あまりにも産経で、もうなにも言いたくないという感じですね。
 たとえば児童虐待がそうでしたが、社会的に問題視され、厚生省なり文科省なりが統計を取り始めると、数年は急増して、そのあとやや安定する傾向があります(緩やかに増える場合ももちろんありますが)*1。これは、虐待や学校内の(事件にいたらない)暴力行為という「概念」が定着し、きちんと報告されるようになるまで数年かかる、ということを意味します。
 「善悪などの徳目を教える教育が重要なときだ」とか産経「主張」はのんきなことを言っているのですが、それで解決するんだったら最初から暴力行為もいじめも発生しません。産経が主張するように、いくら道徳教育を強化しても、それでは解決しません。今だって一応「道徳の時間」というのが週1回あって、「悪いことは悪い」と教えているはずですが、違うのでしょうか。わたしは現場の学校を見ていないので、もしかしたらこれは思いこみなのかもしれません。もし、現在の実際の道徳教育が、そういう善悪の区別を教えていない、「いじめや暴力はいけない」と教えてはいなかったら、大手町の産経新聞社に向かって土下座しているところをはてなフォトライフで公開することをお約束しますよ。どんなに「価値観の押しつけ」を嫌う“日教組教師”や“モンスターペアレント”だって、「いじめや暴力はいけない」と教えていないと思っているのでしょうか。あまりの常識はずれっぷりに、やはり「産経だなあ」とつぶやくしかありません。