黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、ハンカチを噛む。

核密約」検証 抑止力の強化につなげよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/330121/

 本日付の産経「主張」では、日米同盟教の伝道師が、興奮のあまりひきつけを起こしています。舌を噛まないように急いで猿轡を噛ませて座薬を入れるんだ*1。「産経新聞」の主語で非核三原則の見直しを強調するなど、かなりの興奮状態かつ周囲が見えない状況になってきていることが明らかで、エンターテイメントとしては楽しい文章ではあります。
 密約があったなかったはどうでもいい、今必要なのはもっともっと米国様の核の傘におすがりすることだ、というこの「主張」を読んで連想したのは、不謹慎というかなんといっていいのかわかりませんが、うちの宗派の教義でした。「我欲を捨て感謝の心を持って、ひたすら御本尊におすがりすれば救済される」という教えです。うちのところに限らずどの宗派も、あるいはキリスト教をはじめどの宗教も、ひたむきな信仰による救済を唱えているという点では同じかと思います。半ば冗談で「日米同盟教」と言い始めたのですが、だんだん本気で宗教にしか見えなくなってきました。これが伝統宗教の範囲で収まっていればまだいいのですが。さらに話を広げますが、人間にとっての宗教の役割は、死という絶対的な恐怖に救済という希望を与えて恐怖を和らげることですが、これを日米同盟教に置き換えると、「日本の死」という恐怖を米国が救済してくれるという信仰になり、この教義が生まれてきた原型が理解できるような気がしてきます。たぶん戦後レジームと関係があります。
 閑話休題。この、今回の核密約問題は、非核三原則に違反しているかどうかとか、まして核の傘をこれからどうするかという問題ではありません。「あったかなかったか」こそが問題なのですが、産経新聞にはこれは理解できないのでしょうか。正確に言えば、密約が「あった」ことはすでにほぼ確定しているわけですが、「なぜそれを外務省は隠し続けたのか、今でも隠そうとしているのか」という問題なのです。これはもちろん、天下り問題に絡む特殊法人への補助金とか、各種事業の無謀な見通しによる予算獲得とか、現状隠しによる責任逃れというお役所体質の最悪の面が現れた象徴的な問題だから、新政権は徹底追及を約束したわけです。一方、ここを糸口にさらに追求が進めば、日米同盟関連の暗闇が次々暴かれていく可能性があります。国民としてはそれを期待していますが、産経新聞にとっては、そうではない、ということなのかもしれませんね。

*1:幼児の熱痙攣の場合、実際には舌を噛む事故は滅多に起きません。むしろ窒息の危険があるので、なにか噛ませるのはやめましょう、とのことです。