黙然日記(廃墟)

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下野なう産経の野党批判。他。

【主張】国会会期末 「疑惑隠し」では信を失う - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091129/stt0911290238000-n1.htm

 首相の資金疑惑を国会の場で追求せよ、与党は話し合いに応じろ、というのは、(文字通りの)正論で、「民主党さんの思うとおりにはさせないぜ」とばかりに産経新聞の真価を発揮しています。一方でいちおう野党にも苦言を呈しているのですが、審議拒否が4日だけではだらしないといわんばかりです。立場が入れ替わるだけでここまで言うことが変わってくるあたり、予想はしていましたがやはり産経はすごいです。

EU新条約発効 価値観共有ゆえ妥協成立 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/329951/

 EU統合が新たな段階を迎えるにあたり、産経はこれも予想どおりに、東アジア共同体構想と比較して難癖をつけています。EUキリスト教圏という共通点を持っているなら、東アジアでも、少なくとも日中韓ベトナムの漢字・儒教圏や、東南アジア・南アジアとの仏教圏という言い方もできます。東アジアでは中国(中華人民共和国)の存在があまりに巨大かつ政治的に異質ではありますが、少なくとも経済面での協力体制は築けるはずです。
 いささか私見ですが、ASEAN10カ国の統合に向けた協力体制はもはや動かないもので、そこに乗り遅れまいとするならASEAN+3(日中韓)の枠組みに便乗させてもらうしかないでしょう。日本はすでに出遅れているので、そういう意味ではインド・オーストラリア・ニュージーランドの参加を呼びかけるのも、本来なら不利な話です。逆に考えて、日本抜きの東アジア共同体が成立してしまったら、どうするつもりなのでしょうか。うまくいきそうなことが見えてきてから「まーぜーて」ですか。わざわざおミソにされるより、いっとう先に「この指とーまれ」した方が楽しいんじゃないですか。

【土・日曜日に書く】産経デジタル取締役営業本部長・井口文彦 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/091129/trd0911290242000-n1.htm

 1948年の帝銀事件の際、名刺を“証拠”として“真犯人”を挙げた刑事の“手柄”についての話と、それに絡めた今の警察への苦言らしき内容なのですが、アップトゥーデートな部分がまるでなく*1、今新聞に書くべき内容なのか、結局なにが言いたいのか、さっぱりわかりません。
 最初にしつこく“”をつけましたが、帝銀事件といえば冤罪の可能性が早い段階から繰り返し指摘され、今でも疑惑は解明されていません。731部隊関係者犯人説とGHQによる捜査・報道中止命令、その直後の名刺班による“解決”などの謎も残されています。また、17回の再審請求とその審査があまりに長期化したことで、百歳近い高齢に及んだ確定囚の獄中死という悲惨な結末を迎え、死刑制度を含む日本の司法制度そのものが問われる事例になってしまったことでも知られます。逮捕当時の話ですから、そこまでは言及されないとしても。この記事の中でも、当時の容疑者への扱いがおよそ非人道的なものだったことが、問わず語りに現れています。見込みだけで上司の許可なく容疑者を逮捕し(旧刑事訴訟法の時代ですが、逮捕状請求とかの手続きはどうなっていたのでしょうか)、護送中の車内で報道陣の取材を受けて「犯人であると確信している」と断言するという有様で、こんな体制下での“自白”ですべて解決したことになっていると知って、改めてこの事件への冤罪疑惑が深まりました。井口氏がすでに現場の記者ではないとしても、現職の新聞関係者として、自分で記述した内容について疑問を持たなかったのでしょうか。産経デジタル社営業部長といっても、おそらく記者上がりで警察とのつきあいも長いのでしょうが、既成マスコミと警察との精神的癒着は根が深そうです。というかそれ以前に、既成マスコミ全体ではなく産経の特質として、産経が警察を批判するところを見た覚えがありません。
 それにしても、ネット広告の売り上げが急速に落ち込んでいるこの時期に、ネット新聞への転身に唯一の望みを託している産経新聞社のネット部門担当子会社で取締役、しかも営業部長を務める人物が、いったいなにをやっているんでしょうか。すでにもう、過去を美化するぐらいしかやることがないのかな。

*1:おそらく、本編と無関係に見える冒頭の名刺のエピソードを筆者が聞いたのがつい最近のことで、そこから思い出した事柄をそのまま書いただけなのでしょうが、読者にとってはなんの意味もない話です。