黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「主張」、政治利用を狙う。他。

自民党アイデンティティー取り戻せ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/322945/

 取りこぼしていた11日分一般記事です。予算委員会終了を受けて自民党しっかりせい、という記事を、阿比留瑠比記者が書いています。はて、この人は与党担当になったんじゃなかったかしらん。大島理森幹事長や加藤紘一議員の質問は情けない、その点、日教組を攻撃した下村博文議員と義家弘介議員や、外国人参政権問題を追求した稲田朋美議員*1はチョーかっちょええ、といったことをわざわざ書いていて、予算委員会というのは国会の花形なわけですが、その産経的総括が、こういう内容を阿比留記者に執筆させることだったというのは、ああそうですか、なるほどなるほど、てな話ではあります。

天皇在位20年 国と皇室の弥栄を願う 継承問題は白紙から検討を - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/323479/

産経抄】11月12日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/323481/

 12日「主張」は2本分のスペースを使ってだらだらとまあ。両陛下のご苦労を語った前半は彌栄を願う言祝ぎだと思えばいいかもしれませんが、ご在位20年のお言葉の中で、ひとくさりだけ拉致問題に触れられたことに、産経抄といっしょになって大喜びしています。前後しますが末尾近くで、「天皇の政治利用」を戒めるようなことを書いています。しかし、産経の政治的立場に都合がいいようご発言を切り貼りするのは、それこそ政治利用ではないでしょうか。
 そして、皇統問題については国会(国民)の議論に委ねる、というご発言をいいことに(このご発言の背後に、125代を重ねる名家の長として、また父親であり祖父である一個人としてのご苦悩がどれだけあったのか、想像してみたことはあるのでしょうか)、旧皇族の復活だとか、まぁたたわけたことを言い出しています。そういえば、10月末に発表されたアパグループ第2回懸賞論文(第1回の「最優秀賞」は田母神俊雄氏)では、旧皇族の中でも復権のためにもっとも先鋭的な活動をしている竹田恒泰氏が「最優秀賞」を受賞していますが*2、ずいぶんと仲のよろしいことで。悠仁様ご生誕で、皇位継承問題は少なくともあと数十年は心配がなくなっているという現実を、受け入れられないのでしょうか。現実から目を背けたがる人向けに、オカルト的な説明をしてみましょう。秋篠宮様以後男性皇族が生まれず、紀子様ももうじき御年40歳を迎えられる、このままでは本当に男子継承者がいなくなるという不安がピークに達した、まさにぎりぎりのタイミングで、悠仁様がお生まれになりました。過去の歴史を振り返っても、様々な形で何度となく存続の危機を迎えた天皇家は(最近では64年前)、そのたびごとに奇跡のような形で永らえてきたわけですから、この先も万世にわたって御安泰だと考えてよいのです。オカルト的には。
 それにしてもこの産経「主張」は、弥栄を願うと題した文章の結論近くで、なんでいちいち自衛隊の海外派遣だの改正教育基本法だの改憲だの、あるいは民主党社民党連立政権や韓国が政治利用しようとしていることへの不満だの、といったことを付け加えるのでしょうか。産経がこういう問題を「天皇制」の一環と考え、戦前の体制をすべて肯定したがっていると、みずから明らかにしているようなものです。ここに靖国問題を付け加えなかったのは、まだ多少は冷静さが残っているということですかね。あらためて繰り返しますが、天皇の政治利用は許されません

*1: d:id:pr3:20091110:1257866484 でも言及しました。

*2:今回の「最優秀賞」にも鍵括弧を付けた理由については、Apemanさんのエントリなどを参照してください。http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20091102/p1 。もっとも、前回よりはマシです、というか前回以下だと小学生作文コンクールから探さないとならないでしょうが。