黙然日記(廃墟)

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産経「正論」の不敬。他。

天皇陛下ご即位20年 「尊皇」の心で難局を打開したい - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/322984/

 11日付「正論」は遠藤浩一拓殖大学大学院教授です。おそらく「シリーズ・天皇陛下ご即位20年」であろうタイトルからすると、「平成の20年を振り返り天皇陛下の彌栄を願う」といった趣旨のはずなのですが、なぜか新政権が中国に接近していることを激しく非難したりしています。産経「正論」にまともな尊皇なんか期待していませんが。昭和天皇が摂政に就かれてから崩御までの期間が、ソビエト連邦の成立から終焉までとほぼ重なる、という指摘はちょっと面白かったですが、その間の最重要課題が共産主義の脅威だったというのはどうでしょうね。昭和期で最大の事件はどう考えても、日本が数多くの国を敵に回して繰り広げた第二次世界大戦*1ですが、その中でも主敵とされたABCD(米国・英国・中国=中華民国・オランダ)は共産主義ですか。
 「天皇制」というのはコミンテルンの陰謀(笑)で使われるようになった言葉だそうですが、遠藤氏によれば「制度なんだからいつだって改変できる」という意味が含まれているそうです。それはそうでしょうね。「民主制」がそうであるように、あらゆる政治制度は、主権者の不断の努力によって保ち守られなければ継続できません。旧憲法下で主権者であった昭和天皇は、「人間宣言」でみずから主権と絶対的な天皇制を放棄して象徴天皇制を受け入れられました。言うまでもなく、今上もそれを継承されています。そして新たに主権者になった国民は、その制度を(コミンテルンの陰謀にもかかわらず)支持し続けているのですから、現在の日本国の政治制度は、大枠でみれば、たいへんうまくいっているとしか言えません。遠藤氏は、いったいなにに向かって吠えているのでしょうか。

行政刷新会議 聖域なく歳出に切り込め - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/323002/

 11日付「主張」ですが、日米同盟教総本山である産経新聞は、“思いやり予算”という聖域の削減にも大賛成のようです。……と冷やかそうと思ったら、これはきちんと主張しているので、ちょっと驚きました。どうしちゃったんでしょうね。「小さな政府」もずっと主張していますが、そうした各個の主張に優先して同盟を絶対視しているから、日米同盟教などと呼ばれているのに(呼んでるのはわたしだけですが)。

【主張】アフガン支援 湾岸の教訓を忘れたのか - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091111/plc0911110249003-n1.htm

 もう1本の「主張」は、変わらずにバリバリのタカ派主張ですけどね。湾岸戦争のときのことをよほど根に持っているようですが、イラク戦争の総括もまともにできない新聞社がいまさらそんなことを持ち出しても。

*1:ここは広義で、日中戦争なども含むと考えます。