黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「正論」、落とし穴にハマる。他。

落とし穴ある共同体構想 新政権の国防軽視を憂慮する - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/309000/

 5日付、西原正氏による「正論」です。東アジア共同体構想が中国にとって有利であることは確実です。すると相対的に米国には不利になるかもしれませんが、たいした問題ではないでしょう。中国に有利であると同時に東アジア各国にとって有利であり、米国と同時にEUなどにも不利であるとして、(産経の大好きな)「地政学的に見て」東アジアに属する国がどうするべきか、少なくとも選択肢として共同体構想に参加しないことは、(産経の大好きな)「国益」を確実に損ねるということになります。
 細かいところですが、EUの母体になった独を「ドイツ」と書いて、民主主義国として仏と協力できたという表現は実に乱暴で、当時はもちろん西独ですし、東独(ドイツ民主共和国)が民主主義を否定していたわけではありません(実態はともかく)。共産圏を「自由主義ではない」「資本主義ではない」といって批判すればいいところを、なぜ「正論」メンバーたちはわざわざツッコまれるような書き方をしたがるのか、理解に苦しみます。
 後半ではいきなり防衛政策の話になり、防衛大臣は有事の際に官僚である防衛省および自衛隊を使いこなさねばならないのだから、「脱官僚」とか言ってられないはずだ、と、これも理解しがたい論理を展開しています。わたしの認識するかぎりでは、「脱官僚」は政治家(大臣)が官僚の言いなりにならず官僚に命令を下し使いこなすことが目的であって、有事だからといって官僚(西原氏はここに制服組をきっちり含めています)の言いなりになってよいはずがありません。シビリアンコントロールの原則は、昨年11月の田母神騒動以来、何度も確認されているはずです。

遠くない大地震 ポスト京都に震災免責を - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/309001/

 サモア諸島スマトラ島の大震災に、心からお見舞い申し上げます。同じ太平洋沿岸の日本でも、大地震に対する心がえまが必要なのは当然のことです。
 しかし産経の視点は相変わらずユニークというか、震災復興で増えるCO2は削減目標から免責しろ、とか、今の段階で言い出しているのがすごいですね。