黙然日記(廃墟)

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最高裁判所裁判官国民審査について。

 さて、明日は(これを読む多くの方にとっては今日が)衆議院議員総選挙ですが、ご存知(のはず)のように、最高裁判所裁判官国民審査も同時に行われます。どう審査すりゃいいのかわからないという声が多く、実はまったく同感なので、自分の興味の範囲でさいきんのいくつかの判決を調べ、関与した裁判官をリストアップしてみました。参考になると思った方は参考にしてみてください。あくまで個人的なまとめなので、審査の対象にすべき判決が他にもあるかもしれません。
 なお、★印をつけた人が今回国民審査を受ける裁判官です。(すべて敬称略)

松文館裁判(2007年)

 マンガ表現が猥褻物に当たるか、最高裁まで争われた初めての例ですが、猥褻であるという判決が確定してしまいました。関わった裁判官で今回国民審査を受ける人はいませんが、せっかく調べたのでメモしておきます。

http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2007/06/post_5641.html
才口千晴 (裁判長)
横尾 和子
甲斐中辰夫
泉  徳治 

VAWW-NET NHK番組政治介入事件

 いわゆる期待権が争われた裁判で、取材された側の期待権を認めない(番組制作者の報道の自由を認める)判決に関与した裁判官です。松文館裁判とほとんど同じメンバーですね。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080618171229.pdf
横尾和子 (裁判長)
甲斐中辰夫
泉徳治
才口千晴
涌井紀夫 ★

メイプルソープ写真集裁判(2008年)

 著名な写真家であるロバート・メイプルソープの写真集が風俗を害するもの(ポルノ表現)に当たるかが争われた裁判で、彼の別の写真集について一度「風俗を害する表現である」という判例が出ているのですが、この件では2008年2月19日に判例を覆す判決がでました。芸術性が高ければポルノではないという判例が新たに出てきたことには大きな意味があります。というわけで、この裁判で多数意見を述べた4人は×をつけないつもりです。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080219115355.pdf
(裁判長裁判官
那須弘平 ★
藤田宙靖
堀籠幸男(少数意見で風俗を害すると判断)
田原睦夫 ★
近藤崇晴 ★

 なお、那須裁判官と近藤裁判官はこのほかに、国籍法改正のきっかけとなった違憲判決(この判決のために、国会が国籍法を改正することは当然の義務になりました)にも関わっています。那須裁判官は一方で、入学式の『君が代』演奏については「内心の自由を侵さない」という判決も出していますが。

参考サイト

 下記のサイトの内容を全面的に支持するものではありませんが、まとまっているものがここぐらいしか見あたらなかったので。ていうか裁判所のサイト( http://www.courts.go.jp/ )に審査を受ける裁判官のリストぐらい出しておけよ。あと判決文ももっと。

国民審査のための最高裁判事紹介 - 日本民主法律か協会
http://www.jdla.jp/kokuminshinsa/2009shinsa.html