黙然日記(廃墟)

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産経の実は意外。他。

【麻生政権考】尊重すべき天皇の国事行為 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/277098/

 おそらく、「産経に対してイメージを持っているけど実際にはあまり産経を読んだことのない人」にとっては意外だろうと思うのですが、産経紙面に天皇制を積極的に支持する言説というのは、あまり掲載されません*1。もっとも、両陛下のご動静を毎日、皇室のトピックを週1回特設ページで報じているのは、全国紙レベルでは産経電子版ぐらいでしょう*2靖国神社などではなく天皇制そのものに積極的に言及するのは、公務削減について「主張」が思い出したように取り上げるのと、「正論」欄の一部ベテラン筆者ぐらいじゃないでしょうか。
 今日付の「麻生政権考」では、榊原智記者が珍しく、日本国憲法天皇制の関係を堂々と論じています。前述の、産経をあまり読まない人が読んでも、「こういうのがやっぱり産経だね」と納得してもらえそうな内容です。現憲法の枠内で象徴天皇制を通して天皇制そのものを肯定する姿勢は、護憲という大前提のもとにしかたなく象徴天皇制を肯定する日本共産党と瓜二つで、微笑ましくも思えてきます。
 しかしこの記事の中で、首相は生臭い政治抗争を経て就任するのだから国民統合の象徴たる元首にはふさわしくない(だから立憲君主こそふさわしい)、としているのは、どういうつもりでしょうか。世界中の国の大半が立憲君主制ではなく共和制ですが、そうした共和国で、政争を経て(おそらくは)民主的に選出された大統領たちは、国を代表する元首としての資格がない、と言っているのでしょうか。現行日本国憲法の、完全に形式としての君主制という状態から、君主制の積極的肯定に向けてわずか一歩でも踏み出すだけで、いきなりほとんどの国の民主主義体制を否定してしまえるというのは、ちょっとある意味すごい文才かな、と思います。考えていることがそのまま文章に出てしまう、という意味で。

森山元文相「輿石文科相ありえる」 民間大会で講演 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090712/stt0907122228015-n1.htm

 輿石東民主党代表代行の発言に対して森山真弓氏は、「私は政治的中立は非常に大事だと考えている」と反論したそうです。輿石氏もなんだかなと思いますが、教育基本法を改悪して政治介入の余地を作ったのは森山さんたちでしょう? なにを言っているんだ、という感想しか出てきません。森山氏は今回の表現規制問題についてもネット上の標的になっていて、たしかにひどい発言がいくらでもあるわけですが、標的にされる理由の一つは「女性だから」なのかなとも思います。そういうこととは関係なしに、自民党文教族が過去に、特にこの4年間に、思想統制言論統制・表現統制についてなにをしてきたか、冷静に見つめ直してみる必要があります。一方、都議選の結果を見ても衆院選の結果はほぼ確実に予想できる状態になっているようですが、輿石氏ら民主党文教族の動きにも目を向けておかねばならない予感がします。

*1:このコラムはSANKEI EXPRESS連載のはずですが、なぜか今日のMSN産経ニュースにも配信されています。

*2:週1回のトピックスに関しては、民放各局にも番組がありますが。