黙然日記(廃墟)

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産経児ポキャンペーン・企画記事。

【漂流 児童ポルノ】(上)四半世紀以上前の映像「よく売れる」 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/271648/

【漂流 児童ポルノ】(中)香港、米国、チェコ…ネット舞台の犯行、困難な捜査 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/272017/

【漂流 児童ポルノ】(下)「単純所持」めぐり法改正停滞…2歳の娘をポルノにする母 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/272582/

 連載企画「漂流 児童ポルノ」が完結したようなので、まとめて取り上げておきます。「主張(社説)」・一面コラムのみならず、こうした企画記事を出したことは、あらためて確認しておきますが、産経も単純所持禁止の法改正に賛成の立場を明確にしたということです。総題と各回のタイトルからもわかるように、ネットを中心とした流通を止められない、決め手は単純所持処罰しかない、という観点を中心にした内容でした。結論からまとめてしまうと、単純所持禁止してる欧米各国ではネット漂流を止められてるの? 
 (上)は警察への取材を中心に、児童ポルノ販売市場の実例などを報じています。もちろん、販売行為は現行法で規制できるものです。(中)は、2月に逮捕された「着エロ」DVD製作者裁判の取材です。いわゆる「3号児童ポルノ」、ヌードまたはセミヌードをポルノとみなすという現行法の規定に絡む事件なのですが*1、現在の与党案がこの問題をそのままにしており、民主党案で削除されているものだとか、そうしたことには触れられていません。そのあと唐突に、1月に摘発された販売サイトの事件を紹介していますが、サーバや銀行口座を各国に分散させて摘発を逃れる商業サイトの手口と、単純所持規制を中心とする法改正と、なんの関係があるのかまったくわかりません。(下)が大笑いで、6月26日の衆議院法務委員会における児ポ法改正案審議を報じているのですが、民主党枝野幸男議員による単純所持罪を利用した謀略の危険性を指摘した質問に対し、自民党葉梨康弘議員がすぐさま(的確な)反論をしたことになっています。その反論というのが「反復取得の規制では一度に大量に入手したら規制できない」。他に、「意図的なものだけ規制したら相続の場合はどうする」とか、葉梨議員はたしかにものすごい反論をしていましたっけねえ。単純所持禁止の問題点については、12年前から議論され尽くしたと言ってもよく、推進側はもはや没論理の論理で押し通すしかないという現実が、象徴的に現れていたのが先日の国会審議でした。あれを擁護しなければならないマスコミの皆さんも、本当にお疲れ様ですとしか言えません。

 この産経の連載企画も、「単純所持禁止さえすればなにもかもうまくいく」という、最近のマスコミにありがちな論法で押し通しています。毎日・読売よりはそれでもまだマシですけど。しかしこういうのを産経で読むと、「核武装ですべてうまくいく」「日米同盟ですべてうまく(ry」「教育再生ですべて(ry」「小泉改革堅持ですべて(ry」「自民党政権で(ry」といった、いつもの産経の論調を思い出してしまいます。毎日・読売が産経レベルになっているとも言えそうです。
 最後に感情的な例を出してくるあたり、典型的なプロパガンダの手法ですね。

*1:事件そのものの容疑は3号ポルノではなく2号の規定によります。