黙然日記(廃墟)

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産経「正論」に登場した専門家。

 18日分です。

【正論】和田秀樹 アルコール依存の怖さ侮るな    - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/267540/

 「最近、酒にからんだ有名人の失態がマスコミを騒がせることが多い」と始まるので期待したのですが、2月に経産相を辞任した中川昭一氏のなの字も出てきません。「現在のアメリカ精神医学会の精神障害の診断基準」として和田氏が挙げている項目を見るかぎり、中川(酒)氏は少なくとも某タレントよりは強度のアルコール依存症としか思えないのですが。
 それ以外の部分についてですが、アルコール依存症を軽視するべきではなく必ず治療すること、治療すれば治る病気であること、放置すると自殺や飲酒運転により社会全体に損失を招くことなどを挙げていて、さすが腐っても精神科医、と思ったのですが。

久里浜アルコール症センター 施設案内
http://www.kurihama-alcoholism-center.jp/J-2-4.html

 ちょっと確認してみると、依存症治療では日本でも有数のこの病院のサイトには「「飲酒したときに周りに迷惑をかける」「飲酒して暴言を吐く・暴力的になる」というのも、依存症の診断とは関係ありません」と明記してありました。DSM-IVでは「アルコール乱用」という別の概念になるそうです。そもそも、前述の和田氏が挙げている基準のいくつか*1は、DSM-IVにもICD-10にも含まれていません。アルコール乱用も、当然治療が必要な病気であり、本人にも周囲にも社会にも損失を与えるものですが、両者を混同した上での発言は、専門家の発言としてはどんなもんでしょうか。
 いちおう書いておくと、中川(酒)氏や某タレントがそれぞれ、乱用の他に依存症なのかどうかはまた別に考える必要があります。離脱症状の有無などは報道だけではわかりませんし外部が判断することはできませんが、オフの日に泥酔していた某タレントに比べると、国際会議や会見で泥酔していた中川(酒)氏の状態が深刻である可能性は高いと思います。しかし、これは和田「正論」とは別の話です。

*1:仕事に遅刻したり、二日酔いで仕事ができない、あるいは酔っていたときの行動をおぼえていないとか、まともな受け答えができないというのも基準に入る