産経「主張」の縦割り行政廃止論。

【主張】船舶検査法　自衛隊抜きで機能するか - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/267138/

　産経の方針はあいかわらず、どさくさまぎれに自衛隊を出せで一貫しているようです。北朝鮮船舶の公海上検査と難しく言っても、要は密輸（輸出禁止措置違反）の取り締まりであり、警察行動です。陸上では都道府県警、海上では海上保安庁の仕事以外ではありません。陸上の密輸倉庫を検査するのに、反抗が予想されるからといって最初から陸上自衛隊を投入しますか？　そのために機動隊があるのだし、海保にしてもそれなりの武装を備えています。警察権力の肥大がいいとは言わないし、縦割り行政を肯定するわけでもありませんが、海自を投入する理由はまったくないのです。
　もう一つ、現在審議中のソマリア沖海賊対策についても、同じことが言えます。海賊つまり海上の強盗を取り締まるのは、警察行動です。この場合、海保にはソマリア沖に派遣するリソースがありませんから*1、海自の護衛艦を派遣するのはしかたありませんが、指揮系統を海保にゆだねるということがなぜできないのでしょうか。そもそも警察行動のノウハウが、海自にはほとんどなく、海保は当然ながら豊富なわけです。なんで素人にやらせようとするのかな。
　しまいに産経「主張」は、民主党にも自衛隊派遣論がある、自民党の慎重派がうるさいなら麻生首相は民主と手を結べ、などと、突飛な妄想 発想を繰り広げています。民主党の中にも（鳩山代表を含めて）タカ派の議員はいますが、なんかもう、自分の妄想優先で客観的な判断もできなくなっているのかと思わざるを得ません。

*1:しきしまは同じぐらい重要な東南アジアの海賊対策で手一杯です。