産経、市長選を伝える。

　ある政令指定都市の市長選挙と、それにまつわる報道を見ていきます。

民主・鳩山代表が応援演説　さいたま市長選 - 47NEWS（よんななニュース）
http://www.47news.jp/CN/200905/CN2009052101000697.html

　共同通信記事の眼目は市長選報道なので、民主党がどうのこうのとは書いてありません。選挙情勢についてはいちばんわかりやすいので、参考までに掲げておきます。
　いくらか補足すると、6人が立候補する大混戦で、祖父・父の後継者として合併前の浦和市長から数えて6選を目指す現職に、民主系1人共産系1人自民系3人が批判票を奪い合っています。現職はハコモノ行政大好きでいろいろな噂もあるのですが、なにしろ三代続く長期政権ですから後援会などの支持基盤もたいへん強力です。さらに党本部推薦候補は共産系のみで、自公は県議らが現職、本部が衆院議員（自民、完全に小泉チルドレンで2期目の見込みはないが前回市長選で善戦）の候補を推して分裂し本部推薦なし、民主も地元代議士の1人が現職に近い立場で抵抗したため対抗馬を出せず、別の地元代議士の猛プッシュでやっと3月に県連支持候補を出せたという状況です。ただし終盤に来て民主系候補に可能性が出てきたので、この候補を推すことでやっと党本部も動いたという情勢になっているわけです。ちなみに、どの記事もあえて書かないのだろうと思いますが、現職と前自民衆院議員は浦和出身、他候補は大宮出身で、現職のあからさまな浦和優先市政に対する批判票という側面もあります。ただ、候補者の1人は地域対立ばかりで選挙運動をしているのですがまったく支持が伸びなかったので、もうあまり関係ないのかもしれません。

asahi.com（朝日新聞社）：鳩山代表が「初陣」　さいたま市長選で民主系候補を応援 - 政治
http://www.asahi.com/politics/update/0521/TKY200905210342.html?ref=rss

　朝日新聞の記事は鳩山代表を主語にして意気込みを伝えています。市長選の結果がどうなるかには、あまり触れられていません。

民主・鳩山氏、代表就任後初の地方遊説　政権交代の必要性強調 - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/256720/

　「地方遊説」……。地方選挙ではありますが。それはともかく産経新聞の記事です。流して読むと朝日記事と同じように見えますが、現職が「（合併から数えて）３選を目指す」と表現した直後に鳩山氏が多選批判したと書いたり、候補者乱立状況を書かずに「民主党県連の支持候補が現職に挑む構図となっている」と一騎打ちであるかのように説明して、さらにこの市長選の結果が中央の政局にも反映されるかのように書いています。ずっとこの選挙を見ていたわたしとしては、民主系候補がここまで支持を伸ばせただけで奇跡的だと感じるのですが、それでも産経は、民主系候補が敗れれば「そらみろ」という話にしたいわけですね。