黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、中立機関を無視する。

 5月1日分を、とりあえず。

【主張】NHK番組 自主的な検証が不十分だ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/248980/

 とりあえずこの見出しの「NHK番組」とは、4月5日放送の『NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー 第1回 アジアの“一等国”』ではなく*1、2001年1月30日に放送された『ETV2001 シリーズ 戦争をどう裁くか 第2回 問われる戦時性暴力』*2のことです。先日、BPO放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会が決定した意見書*3について取り上げています。
 放送局の独立性が重要であることを認めながら、NHKに関して「番組内容について多くの外部の意見を聞くことが必要だ」とか「幹部が番組内容について政治家と面談することは、それほど不自然な行為ではない。「重大な疑念」があるとする検証委の指摘は疑問である」とか、不自然としか言いようのない疑問を持ち出しているのが、すごいですね。意見書が政治家による圧力があったかどうか判断していないことは喜んでいます。あたかも「安倍晋三中川(酒)両氏の圧力が蒸し返されなくて助かった」と言わんばかりです。
 BPO検証委員会そのものにも、山口県の母子殺害事件裁判の報道に関する意見に対して「「(被害者側に立った)一方的で感情的な放送は視聴者の不利益になる」との意見書を出した。これが公正な意見といえるのかどうか」と不自然な指摘をし、だから耳を傾ける必要はない、と結論づけています。もう、なんでもアリですね。
 いちいち引用しているときりがないんですが、『ETV2001』の内容が“偏っている”ことをNHKは自主的に検証していない、BPOの意見なんか無視して「視聴者の立場で」検証しろ、ということなのだそうです。政治家の圧力に屈したことについてNHKの自己検証が必要なのはたしかですが、これだけ間違った前提で、よくこういう結論を出せるものですね。

*1:もちろんこの番組の話題もちょっと触れられています。ちなみに第2回は『天皇憲法』というまたアツいテーマで5/3 21:00〜22:13放送予定。http://www.nhk.or.jp/special/onair/090503.html

*2:NHKアーカイブ http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10002200090101300130170/

*3: http://www.bpo.gr.jp/kensyo/decision/001-010/005_nhk.pdf (PDFファイル)