産経「正論」、連発する。
まず27日分の取りこぼしから。
【正論】評論家・鳥居民 NHK特番の傲慢さが悲しい - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/247332/
この『NHKスペシャル』を、実はこれはたいへん珍しい話なのですが、わたしもたまたま観ていました。アニメ新番組のために録画ソフト等の調整をしていた時期で、ちょうど、多少興味あるテーマで手頃な番組だったので録画テストのために。で、「ああ、そういうこともあったのか、台湾統治のこうした側面はあまり伝えられていなかったよな」というひととおりの感想だけで、失敗した録画ファイルは消してしまったわけですが。しかし、放送直後からネトウヨが吹き上がり、「週刊新潮」が謝罪もそっちのけで巻頭特集を組み、安倍晋三氏がまたNHKに抗議した、という、たいへんわかりやすい経緯から、当然の展開のごとくこうして産経「正論」欄でも論じられているわけです。
鳥居氏、あるいはネトウヨやら安倍氏やらが何を問題視しているのか、どうもわかりません。番組に登場した台湾人の老人は、「日本人に差別されていた」と涙ながらに語っていました。それは、たしかにあった事実なのでしょう。差別された記憶を、ふだんから声高には言わなくても、思い出せば涙ぐむ――。そうした心情を理解できない人々は、いままでどれだけ恵まれた人生をおくってきたのかと思います。
台湾での日本統治は、本当に恨まれていないのでしょうか。台湾の人々(本省人)が「国民党独裁時代より日本植民地時代の方がマシだった」「目の前にある共産中国の危機に立ち向かうためには昔のことを引っ張っていてもしかたない」と考えることはおかしくないし、統治の成功と差別の存在も矛盾しません。戦前の日本には差別がありました。究極的には天皇とそれ以外の人間との差別があり、華族制度があり、同和問題には手もつけられず、選挙権は最初は納税額で、後になっても性別で有無が決まり、そして明治以後新たに得た海外領土(北海道・沖縄含む)の住民に対する差別、少なくとも区別も、制度として厳然と存在しました。「そんなものはなかった」と無根拠に言うより、「そういう時代だったから」と言い逃れをする方が、まだしも誠実な態度だろうと考えます。*1
【正論】小堀桂一郎 主権回復記念日がなぜ必要か - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/247781/
28日分は笑える話で。毎年恒例、サンフランシスコ条約調印記念日には小堀氏が登場して祝日にせよと唱えます。前回は http://d.hatena.ne.jp/pr3/20080428/1209391477 でしたね、って日付指定して読んでいただければリンクを貼る必要もない(笑)。前エントリでのid:pipisanのご教示によると*2、97年以来続いているものだそうです。これはもうなんか、呪術的儀式になってしまっているんでしょうねえ。