黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、木によって魚を求む。

 またやってしまいましたが、20日分。

【主張】消費者庁 国民の利益本位の組織に - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/244688/

 消費者庁設立の法案が衆院を通過したことを高く評価し、官庁の焼け太りに警戒を示しています。それはたいへんよいのですが。この「主張」が特に評価しているのは、消費者委員会を消費者庁と同格にしてさらに監視する仕組みです。これを「政府案では消費者庁内の諮問機関的位置付けだったが、修正協議で同格に格上げされた」とだけ表現しています。この仕組みが民主党の提案であることには触れないんですね。もともと官僚寄りだった政府案に、与党の自民・公明はまったく文句をつけず、民主案がなければ禍根を残したことでしょう。
 さらにこの「主張」は、官庁焼け太りと同時に、規制強化による企業活動の制限にも危惧を表明しています。建築基準法を徹底させたら住宅着工が激減した例を挙げて、「過剰規制がかえって消費者の利益を阻害する」とか言ってるんですが、それまでの方がおかしかったんです。消費者庁設立の意味を理解していないとしか思えません。


 修正協議関連でもうちょっと。別に民主党を持ち上げるつもりはないのですが、元からその傾向はあったにせよ、最近の自民党は(公明党には最初から期待しません)立法能力がほとんどないのではないでしょうか。政策立案そのものへの疑問や、与党内閣としての行政能力への批判はとりあえず抜きにして、自民党には法律を作る能力がなくなっているんじゃないかということです。すべてがそうなのかはわかりません。ただ、わたしが注目している児童ポルノ法改正案について与党案と民主党案をじっくり読み比べてみましたが*1民主党案が規制強化の方向であるにしろ「法律としての体裁を整えよう」という意志が認められるのに対して、与党案は単に現在の条文のまま規制を強化しているだけでした。民主案が後出しであることは考慮しなくてはならないにしても、自民党立法府の役割を認識できていないのではないか、という不安を感じます。政権交代すればいい、というだけの話でもありません。そのとき、最大野党が健全な法案見直しをする能力がなければ、長い目で見て困るのです。