黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、問題をむりやり切り分ける。

【主張】AIGボーナス 金融安定が最優先課題だ  - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/233845/

 読み終えて、呆然としてしまいました。産経が経営者側を擁護するのはわかります。それでも、あまりに非常識なボーナスには、誰もが批判するでしょう。ですから、読み進めながら「ちょっとぐらいはAIG経営陣を批判するだろう」と思っていたのですが、批判なんてかけらもないのです。
 米国の常識として、大企業経営者のボーナス相場というものがあるのでしょうから、400人に160億円という金額そのものはさほど問題ないのかもしれません。しかし、公的資金注入を受けていてそれがボーナスの原資にもなっていること、さらに大きな問題として、破綻回避のために公的資金が注入されたということは、それがなければ破綻していたわけですから、経営責任が厳しく問われることになるのは当たり前です。日本でも、外資系金融企業、特に取引部門は高額ボーナスで知られ、1人あたり4000万円というのも耳にするかぎりでは珍しくないのですが、「その代わりに、損失を出したら即座に馘」という説明も必ずついてきます。その基本原則自体が、AIGではどうなっているのか、という疑問を、誰しも持つのではないでしょうか。米国でも財界や保守派がAIGを擁護しているそうで、産経もその尻馬に乗っているだけかもしれませんが、いずれもどういう頭の構造になっているのか、かち割ってとは言いませんが強力なX線でも当ててみたい気持ちです。
 もうひとつこの「主張」は、オバマ政権の対応も強く批判しています。これも先述の件と同じように保守派が批判しているらしいのですが、公的資金注入によって政府が企業の大株主に(一時的に)なること自体に問題があると考えているのでしょうか。その点からオバマ政権を「社会主義的」(米国においては「非国民」に匹敵する言葉だと思っていました)とすら批判しています。でもそれって、1月19日まではブッシュ政権がやっていた政策ですよね? 当時、保守派はそんな批判をしていなかったと思うのですが。それどころか産経「主張」に限って言えば、日本の経験に学べ、一刻も早い公的資金注入を、と唱えていませんでしたっけ(2008年9月21日付)。
 おや、こんなところにこんな記事が。

アメリカは社会主義の国になるのか - ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/929500