黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経抄は物理と地理が赤点、他。

ヤマハ「VMAX」を24年ぶり全面改良 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/product/230144
 「VMAX」は昭和60年に米国市場で発売され、平成2年には日本向けにも販売された。(中略)
 1年施行の「自主馬力規制」により、国内で生産・販売される750cc以上の二輪車は100馬力以下に規制されたため、欧米で発売された100馬力以上の逆輸入車の方が人気となり、99年には日本向けの製造・販売は中止された。19年に自主馬力規制が撤廃されたことで、新モデルは151馬力の高出力モデルとして、再デビューを果たす。

 論説記事は何とか追いかけているのですが、一般記事の未読を溜め込んでいる状態です。少しずつ消化しつつ、そんな状態でたまたま開いてみた10日付の記事にあった記述ですが、5日間も修正されていないので、産経的には問題ない表記なのでしょう。平成元年(1989年)を「1年」と書いているのもすごいですが、平成99年(2087年)の出来事を予言できるのは素晴らしいですね。なんのつもりで元号表記をしているのか、小一時間問いつめてみたくなります。

【軍事情勢】文化を護る喧嘩の仕方 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/europe/231740

 あいかわらずどこが【軍事情勢】なのかわからない野口裕之記者のコラムですが、第二次アヘン戦争で英仏などが中国から略奪された文物について、民族の文化的権利を言うなら少数民族の文化そのものを認めずに弾圧している中国政府はどうなんだ、という、まあよくある産経人士の言い分です。野口記者は注意深く「今の価値観で帝国主義時代を考察することには危険が伴うが」というエクスキューズを入れているのですが、日中戦争大東亜戦争として全肯定できる野口記者に、それなら日本はどうなんだ、と訊ねてみたくなります。

産経抄】3月15日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/231746/

 久方ぶりに猛烈な「産経抄」でした。
 ミサイルはいろんな方向に撃つかもしれませんが、人工衛星は地球の自転を利用するため東向きに、またできるだけ赤道に近い位置から打ち上げる必要があります。人工衛星や宇宙開発に少しでも知識があるなら、あるいは人工衛星の原理とニュートン力学の基礎知識と「地球が丸くて自転している」という事実を知っていれば、説明の必要もないような事実です。
 東大生産研のロケット発射場が秋田県から鹿児島県に移ったのは、そこが日本のほぼ最東南端だったからです(当時は小笠原諸島沖縄県は返還前)。Wikipedia:宇宙船基地の一覧から各国(組織)の主なロケット発射場の記事を見ていくとわかるのですが(面白くて止まらなくなるので注意)、ほとんどのロケット発射場は自国領のできるだけ南(赤道の近く)で、東側に海または沙漠が開けた場所に建設されています。ケネディ宇宙センターが米国本土のほぼ最東南端にあることは、言うまでもありません。アリアンロケットのギアナ宇宙センターも、もっとも赤道に近いフランス領の一つで東側が大西洋に面しています。ロシアのバイコヌール基地もソ連領としては最南端に近い位置ですね(現在はカザフスタン共和国内)。中国の主力発射場であり神舟シリーズを打ち上げたWikipedia:酒泉衛星発射センターだけは、北端に近い内陸というおかしな位置にありますが、該当記事の記述によると、冷戦中の機密保持のためで、現在は最東南端の海南島に基地を建設中だそうです。
 そして、地図を見ればわかることですが、というか普通の知識がある日本人ならわざわざ地図を見なくても頭に入っているレベルのことですが、北朝鮮の領土には、東側が大洋や大沙漠に面した部分がありません。東側に開けているのは日本海で、その先に日本列島が存在します。人工衛星を領内から打ち上げようとしたら、日本海から太平洋へ向けて日本列島を飛び越す形で打ち上げるしかないのです。そういう地形的条件の下で人工衛星打ち上げを考えるのがそもそも間違っている、という指摘はできるかもしれませんが。
 実際のところ、北朝鮮は「人工衛星を打ち上げることでミサイルにも使えるロケット技術を検証する」ことが目的なのだろうと思います。その意図に対しては非難すべきでしょうが、あくまでも意図を正確に理解した上でのことでしょう。