黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経、屋上屋を重ねる、他。

【土・日曜日に書く】論説委員・皿木喜久 北方の歴史への思い新たに - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090307/erp0903070255001-n1.htm

 あいかわらず嘘ばっかり書いてあります。主に、帰属未定地が南樺太だけなのに樺太島全域の領有を主張できるかのようにミスリードしているところですが(産経のいつもの論調です)、出鱈目として特にひどいのが「前述の樺太千島交換条約である。この条約には、南樺太との交換で日本の領土となる千島列島の〜」という部分で、その前に自分で、樺太(全島)と千島の交換条約であったことを書いているではないですか。この条約が南樺太と(南千島以外の)千島列島との交換条約だったら、北樺太の帰属にはますます問題がないことになります。そこまでの部分で、樺太全島と南樺太をわざと混同させて書いているうちに、自分でもわけがわからなくなってしまったのではないですか? 
 結びの文章はこうなっています。「いま一度みんなが「北方の歴史」についてきちんと学ぶべきだという気がしてならない」。おまえがな。

【主張】米軍イラク撤退 日本の貢献で好循環促せ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/229061/

 「ブッシュ様の御陰によりイラク戦争は泥沼化しない」と予言した人が恥辱の殿堂に叩き込まれてから6年近くになるわけですが、オバマ政権による撤退計画も発表され、予想以上に深かった泥沼にもなんとか光明が見えてきました。
 曲がりなりにも民主化が成ったイラクオバマ大統領は「偉大な国家」と評価しましたが、それを「かつてはイラク戦争に反対したオバマ大統領も、ブッシュ前政権の成果を将来につなげる姿勢に転じたのである」と、いまだに「ブッシュ様の御陰」としているのは、いったいどういうつもりなのでしょう。選挙戦でのオバマ氏は、もう十分に民主化したし米軍駐留でかえって治安が悪くなっているから撤退しよう、と主張していたと思うのですが。なにひとつ「転じて」などいません。殿堂の屋上にさらに屋を重ねたいのでしょうか。

小沢一郎氏の過去の汚れが民主党最大の弱点か」――米紙が伝えた小沢事件 - ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/941372

 上の部分を書いたらなぜかふと思い出したので、古森義久氏のブログを見に行きました。古森氏が嫌いな存在といえばニューヨーク・タイムズ民主党(日米とも)です。もちろんその他にも、国連からはてなダイアリーまで嫌いなものはさまざまあるのですが、とりあえず最初の二つが関連したとき、彼がどう行動するのか、興味津々といったところです。というわけで、小沢一郎民主党代表のスキャンダルを伝えるNewyorkTimesのMartin Fackler記者*1による記事を、古森氏はどう紹介しているでしょうか。
 検索してみるとNYTサイトには該当記事が2本ありますが、1本は「秘書が逮捕された」というだけの速報記事なので*2、元にしているのはこちらの記事でしょう。

Scandal Threatens Opposition in Japan - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2009/03/05/world/asia/05japan.html

 例によって翻訳サイトを通してざっと読んだだけなのですが、どう読んでも小沢氏を批判する記事には見えません。記事本文のほとんどは、「国策捜査だ」という小沢氏側の主張にあてられています。もちろん、古森氏が引用した部分以外にも、たとえば森英介法相による反論なども紹介されていますが、法相の名前の後にわざわざ「a Liberal Democrat,自民党員)」という注釈がついています*3。また、日本国における国策捜査の実例として、強力なメディアグループの一つを買収しようとした堀江貴文氏が直後に逮捕されて失脚したことを挙げています。わたしにはここがいちばん興味深かったのですが(事実関係としてちょっとどうか、という意味も含めて)、もちろん古森氏はこの部分には触れていません。
 一方、古森氏がいちばん興味を惹かれ、ブログエントリのタイトルにもしたのは、Fackler記者が「小沢氏は自民党員よりクリーンではないかもしれない」と指摘している部分です。しかし記事はその後すぐ、自民党にも捜査が及ぶかもしれないことを指摘し、そうなれば相打ち状態で有権者は政治に絶望するだろう、と述べています。小沢氏だけを攻撃しているわけではありません。
 なんにしても、見事に恣意的な記事の抜粋としか言いようがないですね。

*1:古森氏はFackler記者の名前をカタカナ書きしているのですが、例によって独自の表記、という以上に、普通それは書かないだろという表記をしています。

*2: http://www.nytimes.com/2009/03/04/world/asia/04briefs-AIDETOOPPOSI_BRF.html

*3:ここんところは、議院内閣制と大統領制の国の違いを示しているのかなと思うと興味深いですね。