黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「主張」の考えてなさ、他。

【主張】在日米軍縮小 小沢氏は全体像を明確に - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/226313/

 日本国の防衛政策について、日米同盟による対米依存か、在日米軍縮小と自主武装推進か、いずれも択らず軽武装化あるいは非武装化で本当にいいのか、現実的に考えてどれが正解なのか、正直自分でも結論が出ていないのですが、小沢氏は自主武装、産経は対米依存という選択ははっきりしており、一方を強く非難しています。
 在日米軍の戦略というものはありません。あるのは米国の対東アジア(あるいは対ユーラシア東部)戦略だけです。それは自衛隊長崎県戦略や島根県戦略がなく日本海沿岸戦略があるだけ、というのと同じことで、だから主要基地が沖縄でもグァムでも、全体の戦略からは本質的な違いがなく簡単に(簡単ではないですが)移転できるわけです。もちろん、北海道から八重山列島にいたる日本全体が米軍戦力の空白地になることは重大な影響をもたらすでしょうが、小沢氏もそこまで言っているわけではありません。一方で、日本国の防衛戦略は日本国の領域だけ考えていればいいので、安保条約と在日米軍は大きなコマのひとつですが、それがすべてでもありません。日本列島にある戦力の合計が変わらなければ、あとは、日米政府のコントロール範囲がどのぐらいの比率になるか、という違いでしかありません。
 この産経「主張」はそうした前提もなく、ただひたすら日米同盟保持だけ、あるいは小沢憎しだけを言っていますが、五大紙の中でもっともタカ派(軍事強硬派)と見られる産経新聞も、実は基本的なところをなんにも考えていないんでしょうかね。日本の防衛は、はたして大丈夫なのでしょうか。いろんな意味で。

舞鶴の高1女子殺害容疑で自宅捜索の男、窃盗罪で実刑判決 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/225788

 とりあえず1本だけ記事を挙げる必要があったのでいつもどおりiza!ですが、産経ネタではありません。もう一昨日のニュースなのですが、今ごろ気になったので。この男性は、殺人事件の嫌疑がかかって家宅捜索までされただけで、京都府警は立件できませんでした。そのときの捜索の名目だったと思われる(細かいディテールは忘れましたが)別件の窃盗罪で有罪判決が出た、というニュースです。
 この男性は、殺人容疑者でもなんでもありません。法的には殺人事件とまったく無関係です。また他の点で有名な人物でもなく、推定無罪の原則を持ち出すのもばからしいような普通の人、と言うのもなんですが、ただのケチな賽銭&下着泥棒(と疑われる人。まだ判決は確定していないので、ここでも推定無罪原則が必要)です。また、この別件の判決がどうなったところで、殺人事件の捜査がどうなるという状況でもありません。どう考えても、全国ニュースになるような判決ではないのです。逆に言って、残念ながらこの窃盗事件判決で殺人事件への嫌疑がすべて晴れたというわけでもないのですが。
 ところがこの判決について、全国紙と通信社が揃って*1、殺人事件と絡めた見出しで報じているのです。警察の誤認捜査・別件逮捕などを非難するでもなく、むしろ京都府警が(しつこく)調査中であることを書き添える形で、男性と事件の関与を疑わせるような記事で足並みを揃えています。冤罪を作り出す主犯は警察・検察ですが、こうしたマスコミの姿勢がそれを後押ししていることを、マスコミ人自身が考えることはないのでしょうか。

*1:日経新聞を除く。もともと一般事件の報道は熱心ではないからでしょうか。