黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経勝訴する、他。

北朝鮮テポドン発射準備 米偵察衛星確認 改良型の可能性 (1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090203/kor0902030138000-n1.htm

 「2009.2.3 01:36」のタイムスタンプがあります。日本語では産経が真っ先に報じ、韓国・米国などのメディアでも報じられ始めたのも日本時間の今日午前中だったので、産経新聞の世界的な特大スクープということになります。いちおう記録しておきますが、虚報になってほしいですね。いろんな意味で。

【一筆多論】内藤泰朗 ロシアの罠に注意せよ (1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090202/erp0902020618001-n1.htm

 これは2日分です。モスクワ支局長時代にはかなりカッ飛ばしていると評判だった内藤記者ですが、外信部次長兼論説委員になった今も変わらずのようで、見出しからしてすごいですね。このところの日ロ関係は、1月に日本漁船拿捕や外交官入国拒否などが相次だ上で、2月にサハリン2生産開始祝賀式典に合わせて現地での首脳会談が行われることになったという状況もあるのでしょうが、それにしてもこの記事、あるいは最近の産経のロシアに対する敵意は異常だなという印象を受けます。北朝鮮や中国に対して、体制の違いを理由に敵視するのはまだ理解できるのですが。もちろん油断はできないし、国際政治は騙し合いと駆け引きですし、北方領土問題に関して楽観視できる根拠は何一つありませんが、なんで産経の論説委員クラスって20年前で思考が止まってる人が多いんでしょうね。もうじき20年も過ぎてしまうというのに。

【正論】西原正 政治が自衛官の士気低下招く - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/218491/

 まあなんというか、読んでみてくださいというか読む価値はないよというか。いちいち西原氏の主張内容を紹介しながら反論するのが面倒なので、原文が挙げている第一〜第三の論点に順にレスポンスしていきます。
 第一の論点として、憲法自衛隊の地位が明記されていないから自衛官の士気が下がるのだ、としています。日本国憲法は「戦争を放棄する」と明記していますから、自衛隊の地位は「戦争をしない軍隊(実力部隊)」ということが明らかです。世界に類例がないかもしれませんが、類例のない制度を採用していけないという理屈はありません。たとえば現在、国家制度として天皇もしくはEmperorを定義しているのは日本国だけですが、これで国民の意気が下がるということがあるでしょうか。また、その独自性のために「軍隊」ではなく「自衛隊」という呼称を採用しているのであり、自衛隊員が軍人としての自覚を持つ必要はありません。そこを勘違いしている隊員が多いのだとしたら、自衛官の教育制度を徹底的に見直す必要があるでしょう。櫻井某とか八木某を講師に呼んでいる場合ではありません。
 第二点、イラクの“非戦闘地域”での任務が厳しいものだったことと、それに対する政治の理解が少ないことを挙げています。現場の苦労には敬意を表しますが、結局はなにをどう言いつくろっても、自公政権政府の判断ミスがあったことは確かです(事実上は非戦闘地域でなかったなら法律違反の命令を下し続けた点で、非戦闘地域であったのなら行動についても広報についても過剰な反応をした点で)。現地部隊の隊長の一人がその後国会議員になったはずですが、それでも現時点で政治の理解が足りていないというのなら、彼は政治家として一年半、なにをしているのでしょうか。
 第三点、武器使用制限の不合理さを政治家が理解していないというのも、そもそも不合理なのかどうかから考えるべきです。ソマリア沖海賊対策を例にしても、他国船を直接防護することができないとしても、エスコートするだけで効果はありますし、仮に海賊船が発砲してきた場合でも、実はいくらでも対処法があります(実行されたら嫌だから具体的には言いませんが、たぶんそういうことになるでしょう)。
 西原氏は――前述の国会議員になった元隊長もそうでしたが――自衛隊が海外に出て武力行使すれば、それが既成事実になってあとはなんとでもなる、とでも思っているのではないでしょうか。既成事実の積み重ねでここまで来たのも確かで、そもそも自衛隊の成り立ちからしてそうなのですが、それがいつまでも続くわけでもないでしょう。既成事実を容認してくれた自民党政権が、いつまで続くわけでもないのですし*1。……産経抄ファンクラブスレで、すでにたくさんの人がたくさんの点にツッコんでいるので、ここでは簡単にしようと思ったのですが、要点だけでもこれだもんなあ。

新聞販促品で4400万円賠償命令 東京地裁 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/218778/

「振り回して充電」新聞販促品は詐欺 産経5千万円被害 - asahi.com
http://www.asahi.com/national/update/0203/TKY200902030155.html

 せっかくの自社勝訴なのに、産経の報道はえらくあっさりしているので、比較のために朝日の記事も貼っておきました。産業経済新聞社に「携帯電話を振り回して充電する」というグッズの企画が持ち込まれ、販促品としての採用を秘書室長らが判断し、仲介者に5000万円の開発資金を渡したのに、実際には製品化不可能だった*2という事件で、仲介者に賠償金の支払いが命じられたという判決です。
 なにかと世知辛いご時世ですが、詐欺はいけませんよ詐欺は。間違っても騙される方も悪い、自己責任だなんて言っちゃいけません。もちろん、日本の新聞でそんなことを主張しているところはありません。いちばん言いそうなところが、なぜか沈黙していますから。

アレな講演会と周囲の人々。

国益を考える講演会
http://kokueki.cool-biz.net/index.html

 コメント欄でid:dj19さんからタレコミを戴きました。なんといっても特別ゲストに田母神俊雄、参加呼びかけ協力代表にせと弘幸というあたりから、実に香ばしい匂いが漂ってきます。「参加呼びかけ協力」には、新風連他、お馴染みの面々が顔を揃えています。
 とりあえず、昨日から産経iza!に広告を掲載しているようなので、それについて調べてみました。iza!の広告料金表*3を見ると、講演会が使っているのは一番安い「セカンドレクタングル」(画面右下に表示される正方形に近い箱)で、1週間20万円とのことです。なお、最高の「今週のトピックス」では85万円もします*4。改めて調べてみてこんなにボッタクってるのかと驚いたわけですがそれはともかく、20万円といえば人間1人が1ヶ月以上楽に暮らせるぐらいの金額ですね*5
 ついでなので、財布の中身を探ってみます。講演の演者やゲストにすべて“特別”がついていて普通の演者がいないのは、謝礼なしという意味かもしれませんが、それにしてもアゴ足を持つのは常識なので、ゼロ円ということにはなりません。東京−岐阜まで新幹線利用のJR往復運賃は、1人2万2千円ぐらいになります。時間的に昼食と夕食も出さないとまずいでしょうね。司会者や歌手も無償出演だとしても、やはり2人分の交通費はかかるでしょう。会場費も調べてみると*6、日曜日の大ホール全日利用で28万4900円になります。これは地元のコネで安く借りられるのかもしれませんが、そこは勘定しようがないですね。ここまでの分だけで60万円はかかります。1600人全席指定の予約をさばく事務費も膨大なものになりそうですが、カルト団体は人件費を無視できるので*7、そのへんは考えなくていいかもしれません。
 なんにしても、最低でも100万円ぐらいは資金を用意しておかないと実現できそうにない大規模なイベントですが、トップページの下の方には黒々と「この講演会は特定の団体(政党・企業)などの宣伝活動及び営利目的としない。スポンサーなどの資金協力は受けない。」と明記されています。入場無料なのは、有料にすると会場費が倍額になるからでしょうが、それにしても驚かされます。すべて手弁当でこれだけのイベントを開けるという実力の方が、むしろ驚異的・脅威的ではないでしょうか。「恐喝右翼団体がバックにいるんだよ」と言われた方が、まだ安心できるぐらいです。

*1:その跡が小沢一郎氏、というのも、ちょっとアレな感じがしますが。国連中心主義に完全に転向したと信じてよいのかどうか、感覚的な不安はあります。

*2:製品化不可能なのはPL法などのためで、物理的に不可能な似非科学物件ではなかったようです。普通に考えて危険だわな。

*3:PDF形式 http://www.sankei-digital.co.jp/advertising/pdf/200901-03/iza200901-03.pdf

*4:ちなみに、MSN産経ニュースのトップにバナーを出すと1週間150万円もかかります。

*5:ぶっちゃけ、わたしの生活費より多いです。

*6:長良川国際会議場 http://www.g-ncc.jp/ 、料金案内 http://www.g-ncc.jp/r-ryoukin0new.htm

*7:オウム真理教が事件を起こす前、PC/AT互換機を大々的に売り出していたのはご存知の方も多いと思いますが、当時のパソオタの間では「性能のわりに異常に安い」と評判でした。もちろん、組立の人件費が事実上ゼロだったからです。「カタログスペックより速い」という噂もあり、その理由として「独自設計のM/BやBIOSに高度な技術が使われているから」という説と「魔法をかけてあるから」という説がありました。身近で実際に買った奴は(当然ながら)いないので、真偽は不明です。