黙然日記(廃墟)

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産経「正論」、また布教。

【正論】筑波大学名誉教授・村上和雄 ゲイツ氏の精神と日本の心 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/216655/

 先日もちょっと述べたように、さすがの産経もここ3年ほどはID論の宣伝活動を前面に出すようなことはしていません。というか実は、大々的に持ち上げたのは1回だけしかないのですが、まあ、1回やりゃ十分ですよね。宗派は違いますが、お馴染みの村上氏も、ここ数回の「正論」欄ではサムシング・グレート天理教親神様)を持ち出していませんでした。やっと世間の目に気がついたか、と思っていたわけですが、もうほとぼりが冷めたとでも思ったのか、またぞろおっ始めています。
 見出しのゲイツ氏とは、Microsoft前CEOのビル・ゲイツ氏です。MSの経営から引退して慈善活動の道に入ったことは周知ですが、その活動に対して昨年の五井平和財賞が贈呈されたのだそうです。慈善活動への評価は別にいいのですが、村上氏の「ソフトウエア界における技術革新をリードしてきたビル・ゲイツ」という評価はいかがなものでしょうか。「技術革新を後追いしてきた」とか「独自規格をリードしてきた」とかならわかりますが。
 それはさておき、この賞を主宰する五井平和財団は、白光真宏会という宗教団体を創設した五井昌久を記念して設立されたもので、西園寺昌美氏が五井氏の後継者として両団体の会長を務めています*1。賞の選考委員には、村上氏もしっかり入っています*2。他の選考委員は佐藤禎一・明石康有馬朗人・今道友信・近衞忠莩西園寺昌美の各氏(肩書略)で、ビミョーな観もありますがまあまあ実績やネームバリューのある人々が並び、間違っても花岡信昭氏あたりが選考委員に紛れ込むような賞ではなさそうなのですが、なぜか例のAPAグループ懸賞論文と似たような匂いがするんですよねえ。
 前置きが長くなりましたが、この村上「正論」の方も、ゲイツ財団の業績やゲイツ氏による記念講演の内容紹介を延々と続け、慈善活動は人間の本性であるとまとめたあと、なぜかいきなり日本の科学技術は素晴らしいという話になり、それより素晴らしいのがサムシング・グレートだと続くわけです。素直に読むと、なにを言いたいのかさっぱりわからない文章です。宗教を科学に見せかけて本意を隠した似非科学を、村上氏が推進しようとし、産経新聞はそれを承知で発言の場を提供しているのだ、という前提を置かないかぎり。

*1: http://d.hatena.ne.jp/pr3/20081029/1225292425#c1225374400 で凡人69号さんのご指摘がありますが、西園寺氏と村上氏は仲がいいようです。

*2: Goi Peace Foundation: Activities http://www.goipeace.or.jp/japanese/activities/news/2008/0714_00.html