産経「主張」とものづくり、他。

　こちらは23日分。

【正論】ノンフィクション作家（フランクフルト在住）・クライン孝子 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090123/erp0901230313003-n1.htm

　お馴染み、“ドイツ出羽守”クライン氏が、ソマリア沖海賊取り締まりにドイツ軍が派遣されたことを絶賛し、日本国の麻生政権が派遣の判断をしたことにも「スピード指令にも見え、いささか驚きを禁じえない」と評価しています。その一方で、中国軍が同じく派遣したことには「緊迫したアフリカ情勢に便乗し、別の目的の舞台に利用しようとしているのではないか」と非難しています。こんなにわかりやすいダブスタもないですね。いや、中国軍が国際貢献のためだけにソマリア派遣を決めたと思っているわけではないですよ。
　
　「主張」はいずれも24日分から。

【主張】米新政権と拉致　日米韓の連携にはずみを - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/215427/

　ヒラリー・クリントン氏と彼女のブレーンは経験豊富で賢い人々ですから、拉致問題に「前向きに善処します」と一言口にしておけば、日本のマスメディアはすべて静かになる（言っておかないとごく一部のメディアが必要以上に騒ぐ）、ということを知っているんじゃないかと思います。そうした高官発言に一喜一憂するあたりは、米国の政権政党が交替しても、産経は基本的な態度をなかなか改められない、ということなのでしょうか。

【主張】まいど１号　ものづくり再生の一歩に - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/215428/

　うん、いやもちろんいい話なんですがね。中小企業とものづくりに希望を持たせるニュースではあるんですが、日本国内の企業のうち99.7%を占める中小企業は、みんながみんな最先端技術の担い手ではないわけで。こうした華々しさとは無縁な、それでも社会を支えている無数の中小企業と、その従業員雇用をどう支えるかが、今問われている問題ですよね。

全国企業倒産集計2008年報 | 帝国データバンク[TDB]
http://www.tdb.co.jp/report/tosan/syukei/08nen.html

　倒産件数の前年比が9月に急速に悪化しているのはリーマン・ショックの波及として、12月も28.7%増を記録しているのは、いわゆる「年を越せなかった」という状況でしょう。政府の無策を問うべきところです。9月から10月の時点では、衆議院解散と引き替えにすれば緊急経済対策である第二次補正予算を通す選択肢があったのですから。そうした視点は、もちろん産経「主張」にはありません。