黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「正論」の漂流と、またもや虚報。

 13日分2本いきます。

【正論】渡辺利夫 オバマ新政権と「日米同盟」 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/211845/
日米同盟が弱体化すれば、「内向化」する国内世論と相まって、日本は国際社会の海を行方定まらず漂流することになりはしないかと惧(おそ)れる。

 そこまで言いますか。えーと、これは実はたいへん申し訳ない話なのですが、「渡辺さん」など一部の名字に関しては、フルネームを見てもどの方だったかすぐには思い出せないことがあります。利夫さんの名前もどっかで見たな、と思いつつ、「正論」は最後に肩書を載せるはずだからいいや、と思いながら読み進めていきました。引用部のように日米同盟を重視するのは、従米保守の産経「正論」路線では基本ですから、日英同盟を廃棄させられた歴史をひもといているのも、その延長だろうと思いましたが、それにしてもこのへんはくどいな、とも感じました。
 最後まで読んで、ようやく得心がいきました。そうですか、拓殖大学学長の渡辺利夫氏でしたか。あの、アングロサクソンとの同盟を絶対視する『新脱亜論』の。花岡信昭氏を大学教授に採用すると決めた最高責任者の(笑)。実は最後まで読んでも、渡辺氏が結局なにを言いたかったのかはっきりしないのですが(自主武装しつつ従米?)、オバマ政権と関係ない話だったのは確実です。

【政論探求】「4・26総選挙」の虚実 (1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090112/plc0901122016011-n1.htm

 その花岡氏によれば、自民党は結束を強め、民主党には焦りが出ているのが今の政局なのだそうです。たしかに、争点が予算案になると、衆院優先のルールからねじれ国会のもとでも野党には打つ手がなくなりますが、ここで与党がごり押しすればするだけ、9月までに行われる総選挙で不利になることは明らかなんですけどねえ。それは同時に、国民がみんなおかしいと思うような政治がいつまでも行われることを意味するわけですけどね。
 なんかもう、相手を「必死だな」と言っている側が必死だとしか。

産経学ラン報道再び。

 まあこんな感じで、産経の論説記事を読んではアラを探し、一般記事で興味のあるものだけ読んでは気づいた範囲でおかしな記述を探す、という作業を連日やっているわけですが、読んでいない記事、読んでいても読み飛ばした記述、知識不足で気づかなかった間違いなどが、いくらでもあるのだろうと思います*1。そんな日々の中、ちょっとはてなキーワード関連でリンクをたどっていたら、ぽろっとこういうエントリを見つけてしまいました。

産経の編集権 - 新小児科医のつぶやき
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20090110

産経記事の検証 - 新小児科医のつぶやき
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20090111

 Yosyanさんは医師らしく非常に慎重な言い回しをされているのですが、どうやらまた、産経は偏ったソースで裏を取らずに記事を書いたようです。病院側と遺族側が対立している事件で、病院側が医療ミスを認めたとはっきり書きながら、どうやらそれは遺族側のみに取材した記事だったようだ、という話です。

尼崎医療生協病院、医療過誤で女性死亡 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090108/crm0901080151003-n1.htm
尼崎医療生協病院、医療過誤で女性死亡 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/210662

 記事には病院・遺族双方の発言が書かれています。ふつうに考えれば病院・遺族双方に取材したものでしょうが、遺族だけに取材して遺族の語った病院の説明を引用している、という前提で読んでも、あり得るなという内容です。
 この構図は、(産経の数多い捏造・虚報の中で・笑)なにかに似てるなと思ったのですが、07年夏の高校野球大会における学ラン応援禁止報道に似ていますね*2。一部の関係者への取材だけで裏を取らず、断定的な書き方をするあたりが。舞台も同じ阪神地域ですが、あちらはたしか出場校地元の津支局が担当、こちらはたぶん神戸総局でしょうから、水戸支局みたいに一定の傾向の記事ばかり出すという体質があるとは断言できませんが。

*1:最近このことがやたら気になっていて、機会を見つけて書こうと思っていたのですが、たまたまこういう機会を得たわけで、不思議なものです。

*2: d:id:pr3:20070831:1188528795 参照。