黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経論説陣の脳に酸素は届いているのか。

【正論】天皇の20年 作家、元文化庁長官・三浦朱門 国際的にも立派な国・日本 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/210315/

 7日付の「正論」ですが、執筆者の名前を見た時点で、ツッコミがたいへんになりそうなので後回しにしていました。この判断は失敗でした。まさかここまで、ツッコむ価値もないほど低レベルだったとは。そもそもこの文章は、タイトルを見るかぎり、今上ご即位の20年を振り返ってくれ、というような主旨で依頼されたものではないのでしょうか。それについて言及しているのは1行、たったの1行だけで、あとはまったく関係のない話ばかりです。それも、日本の美点を並べて結論にその1行を持ってくるならまだタイトルの意味もわかりますが、ほとんどが他国や国際社会への罵倒で占められているのです。こんなもの、プロの小説家が商業媒体に発表する文章ではありません。
 「ソマリアという国は海賊で食っているような国らしい。国連はそれに積極的なことを何もしない。」とか、本気で小学校からやり直してくれと言いたくなります。「ゆとり教育」の提唱者として有名な三浦氏は、本来の意味でゆとりある教育を唱えたわけではなく、多数の勤労者と少数のエリートを作れと主張していたわけですが、エリート側に属するはずのご本人がここまで劣化していたのではどうしようもありません。
 日本国が国際的に立派なのかどうか。こういう人物を一時でも文化庁長官という要職につけていた政府が立派であるとは、誰も思ってくれないでしょう。

【主張】製造業派遣 規制強化は慎重な論議を - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/210677/

 以下8日分です。産経がとんでもないことを言い出すたびに溜息をついていたら肺から空気が全部抜けてしまうのですが、これを読んだときは危うく酸素欠乏症になって古くさい回路を開発してしまうところでした。
 企業側のメリットばかり挙げて、雇用確保のためにも製造業派遣は必要だと唱えているのですが、仮にそれを受け入れるとしても、雇用の流動性ワークシェアリングは直接雇用のパートタイム契約でも実現できることです(これはこれで問題があるのはもちろんですが)。産経の主張が正しいとしても、「派遣」というかたちをとる必然性はないのです。
 新聞記者も専門職の一種ですが、この業界に派遣労働が導入されたら、この「主張」筆者はどうしますかね。産業経済新聞社は真っ先に導入するだろうと思われますが。フリーランスのライターに対して大手メディアがどういう態度をとっているか、もちろんご存知のことでしょう。

【コラム・断】TBSに次回作を提案する - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/dan/210679

 元自衛隊員の潮匡人氏が、昨年末に放送されたTBSの番組『あの戦争は何だったのか 日米開戦と東條英機』の感想を書いています。わたしは該当の番組を見損ねたので*1、内容に関する部分はツッコミを入れられないのですが、番組が統帥権を魔物と評したのは、「権力は魔物」というよくある言い回しの延長ではなかったのでしょうか。
 田母神「論文」以後の潮氏らしく、文民統制についての独自解釈へと話はそれてゆき、「現代の魔物は、さしずめ文民統制であろう」と結論づけています。その前の、防衛庁の下に自衛隊があるのではなく同じ組織なのだ、という主張など(文民たる防衛大臣は少なくとも自衛隊員ではないはずですが)、やはり根本的にこの人は「文民統制」を理解していないか、理解しようとしていないんでしょうねえ。

*1:イブはなにかと忙しくて……ごめんなさいウソですorz