黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経、天皇の政治利用を始める。

 なんかiza!に今日のオピニオン欄が掲載されていないんですけど。最近配信の時刻も遅いし、iza!編集部は2ちゃん見てるヒマがあったら本来の業務をちゃんとやってください。

【土・日曜日に書く】論説委員・石川水穂 国民の安寧を祈られる天皇  - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/culture/imperial/090103/imp0901030252000-n1.htm

 ご即位二十年の式典を控え、年末から年始にかけての産経新聞は、天皇陛下と皇室に関する得手勝手な論説のオンパレード状態です。
 1992年の中国ご訪問と、その際のお言葉について、中国政府と(親中の)宮沢内閣による政治利用であり、負の歴史だったと批判しています。
 そこから石川氏は、この20年間で自衛隊の役割が強化され、教育基本法などが改正されたことを、戦後日本の「自立への道」と讃えています。陛下がそんなことをお望みだと、本当に考えているんでしょうか。そうは考えていないのに、政治的なご発言が許されず反論なさることもできない(これがいかほどのご心痛であるかを考えると、たまらない気持ちになります)陛下のご存在にかこつけて、こうした政治的問題を持ち出すことを、「天皇の政治利用」とは言わないのでしょうか。

【緯度経度】不況の米国、対中ジレンマ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/209386

 新年(たぶん)最初の古森義久氏の記事は、あいかわらず米議会調査局レポートの紹介でした。前半では米中の経済関係を解説しています。中国が安い製品を米国に輸出し、巨額の貿易黒字で米国債を買い支えるという構図を、相互依存とか不自然とか評しているのですが、それって1980年代までの日米経済関係じゃないですか。85年のプラザ合意による円高誘導、87年の米株価急落(ブラックマンデー)を経て、日本が極端な金融緩和をしたことでバブル経済とその崩壊にいたったことは周知の事実ですが、当事者である米国はもちろん中国も含めて、その歴史から何一つ学んでいないとは思えません。
 1980年代における日本の大幅な貿易黒字は、米側のジャパン・バッシングを招きましたが、その際に古森氏は(珍しく)米側を批判して“国益”に立ったことを、いまでもときおり自慢します(米国を批判した実績で大きな声で言えるものが、それしかないのでしょう)。今回も、この同じ構図に対して中国側に立ってもよさそうなものなのですが。

論説メンバー新年を占う(上) (1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090103/plc0901030838004-n1.htm
論説メンバー新年を占う(下) (1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090103/plc0901030841005-n1.htm

 なんかよくわかんない記事があるんですけど、産経新聞論説委員が雁首を揃えているようなので列挙しておきます。新年紙面オピニオン欄で他に登場していない論説委員が揃っていると考えていいのなら(「緯度経度」は外信コラム)、古森義久・編集特別委員はやっぱり論説委員兼任を外れているということになりますね。

ベルリンの壁崩壊から20年 世界秩序の枠組み再構築
高畑昭男
天安門事件から20年 多元的な外交が必要な時
山本勲
大恐慌から80年 社会保障改革待ったなし
気仙英郎
「平成」満20年 二大政党は選択し提供を
石井聡
伊勢湾台風から50年 地球温暖化、未来を考えて
長辻象平
週刊少年漫画誌創刊から50年 アニメ界トップの座守れ
小林毅

*1
 この小林毅委員の占い記事に、アニメ制作者の待遇について触れられているので、この問題に取り組んでいる業界団体を紹介しておきます*2

日本アニメーター・演出協会(JAniCA)
http://www.janica.jp/

 アニメ関係者の知人らを見ていると、本当に洒落にならない状況なので(しかもそれが40年以上続いているわけで)、いいかげんなんとかしなくては、小林委員も指摘するようにたいへんなことになりかねません。アニメやマンガが日本を代表する文化と考え日本の国益を強調する立場ならば、積極的にこの問題に取り組んでほしいものです。

*1:(下)の4ページめは【2009年に周年を迎える主な出来事】の一覧

*2:ちょうどコミケでチラシをもらったところだったので。あれはたった4日前のことだったんだなあ。