産経、PRする。
関西初見参２．５倍バーガーに長蛇の列 - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/207211/
マック 大行列 特大バーガー食べたいねん - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/product/207285/
23日に関西圏でも販売が開始されたマクドナルドのクォーターパウンダーですが*1、これが大人気で行列ができた、というPR記事を当日夜に報じていたのは、全国紙では産経と読売新聞だけで、日経新聞ですらボツにしていました*2。産経は本紙（上の記事）とSANKEI EXPRESS（下の記事）*3両方で伝えるほど力を入れていました。
ところが。もうみなさんご存知でしょうが、昨日25日夜になってこんなニュースが流れました。
ちょっと興味があって調べてみた結果をついでに。メディアとしてはGIGAZINE（24日15時、ただし憶測のみ）、大手マスコミではTBS（25日19時36分、日本マクドナルドなどへの取材含む）が一番早かったようです。
「新商品を並んで買って食べるだけ」の短期アルバイトが登場、時給は1000円 - GIGAZINE
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20081224_fullcast/
(cache) 「新商品の行列に最大千人の「サクラ」」 News i - TBSの動画ニュースサイト
http://s01.megalodon.jp/2008-1225-2128-47/news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4025801.html (魚拓)
ここでちょっと解説しておくと、混雑しているときに実際に提供される商品のクォリティや接客態度を覆面モニターで調査するのは、特におかしなことではありません。GIGAZINEの記事は、その点の切り口が変ですね。ただ、1日1000人というのはいささか多すぎるし、この状況で行列や売り上げをPRしたとなると、知らなかったとしても結果への責任はまぬがれないでしょう。
さて、読売はPR記事を出してしまった責任からか、あるていど押さえたというかマクドナルド側に同情的な雰囲気の記事になっています。
マクド新バーガー発売日、「試食」バイト１０００人動員 - YOMIURI ONLINE
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20081226-OYO1T00204.htm?from=main1
それに対して、いよいよ問題の産経ですが、かさにかかってマクドナルド側を責める内容で、行列のPRを記事にしていなかった朝日・毎日と同じような、居丈高な記事になっています。
マクドナルドがサクラで行列演出？ 新商品先行販売で - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/207898
実際に並んだ客の他、デーブ・スペクター氏と宮本勝浩・関西大学大学院教授による非難のコメントも載せています。客の男性とスペクター氏のコメント内容を見ると、どのていど状況を認識した（インタビューの際に記者が伝えた）上でのコメントなのか、いささか疑問です。上述のようにモニター調査自体はおかしなことではなく、数が問題なのですが、その点が伝わっていないとしか思えません。宮本教授のコメントはほぼ妥当な内容だと思いますが。
モニター調査を受託したマーケティング会社*4、アルバイトを手配したフルキャスト、および実態を把握・管理しつつPRを行わねばならなかった日本マクドナルド側に、問題があったのはたしかでしょう。しかし、1日の売り上げが1002万円ではなく952万円だったり、最大3000人の行列がもしかしたら2000人だったとしても、23日の大阪でクォーターパウンダーが大人気だったのは事実なのですから、自分の過去の報道にもっと責任を持ってもらいたいものです。「大人気」とPRしたマクドナルドに責任があるとしたら、そのPRを記事にしたメディア側の責任も同等ではないでしょうか。
と、（クォーターパウンダーはたしかに旨かったので）マクドナルドを少し擁護してみましたが、朝日新聞記事やTBSの続報によると、意図的な煽りもあったようで、残念です。
マクドの行列、１千人動員 「モニター調査だった」（2/2ページ） - asahi.com
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200812250103_01.html
徹夜組の２０人については「マーケティング会社側に発売を盛り上げるために依頼した。（自己演出との）誤解を生んだとすれば、今後は誤解がないようにやり方を検討したい」としている。
「マクドナルド、徹夜組にも「サクラ」」 News i - TBSの動画ニュースサイト
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4026415.html
時期が時期だけに、イベントと徹夜行列を結びつけるイメージが流布されたことも、たいへん残念です。徹夜組に事故が起きればそのイベントは中止される、ということを、一部の心ない人たちに伝えたく思います。下手すりゃもういるんだろうけど……。
*1:たしか20年くらい前にも、同じ名前の商品がありました。プレミアムタイプではなく、レギュラーのハンバーガーと同じ味で単に面積が広いだけのものです（笑）。作る側も食べる側も張り合いがなくて、結局パティ2枚重ねのダブルバーガーに置き換えられたように記憶しています。2枚重ねといえば、クォーターパウンダー導入店ではメガマックがメニューから消えるようなので、メガファンは今のうちに。首都圏でもミニマック（テナント等の小型店舗）にはまだありました。
*2:イベントに人気プロゴルファーが呼ばれたそうで、その切り口からサンスポとスポーツ報知も報じています。しかしこれもそれぞれ産経・読売系ですね。
*3:実は24日にこの見出しを発見して、「さすが関西ブロック紙」とか「関西ローカルニュースなら『マクド』と書けよ」とかツッコミを入れようと思ったのですが、さすがにやめておきました（笑）。後述の読売記事はその点素直ですね。なお、「首都圏では先月から普通に売っているので、こんなに騒ぐのは奇異な印象を受けるなあ」という感想も付け加えるつもりでした。
*4:どこの記事を見ても名前が出ていませんが、名前を出すとよほどまずい会社なのでしょうか。1000人のアルバイトに払われた時給+ハンバーガー代は150万〜200万円の範囲だと思われます。常識的な人数なら数十万円で収まるわけで、それだけの経費がよけいに使われていてもマクドナルド側が気づかなかったということは、マーケティング企業はいったいいくらで請け負っていたのでしょう。
