黙然日記(廃墟)

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古森義久氏、総括する。

ブッシュ政権総括】日米同盟を強化 拉致でも日本への支援惜しまず - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/207830

 ジョージ・W・ブッシュ政権の8年間の任期が来月で終了することを控え、やはり総括は必要でしょう。そしてやはり、産経新聞でトップバッターになるのはこの人、古森義久氏です。
 「多方面からの辛辣(しんらつ)な批判のなかでも、なお確実な成果が認められる分野も存在する」という古森氏の総括は、「批判はあるけど俺は認めてない、成果だけを認める」という意味の表現だと受け取っていいのでしょうか。それでも、批判に反論することはできなかったようですが。
 挙げられている「成果」は、日米軍事同盟の強化、北朝鮮への強硬姿勢*1、中国への経済的融和と軍事的封じ込めなどです。
 そして最大の成果として、古森氏は二つの出来事を挙げています。一つは9・11以後米国本土内で一件のテロも起こさせなかったことだそうですが、あれ、たしか炭疽菌騒ぎとかありませんでしたっけ。そしてもう一つは、対テロ戦争に関連してのイラク戦争、すなわちフセイン政権打倒とイラク民主化だそうす。テロとは関係なかったですけどね。フセイン政権打倒が自由主義陣営(ってなに? いつの用語?)にとって結果オーライだったとしても、それは誇るべき成果なのでしょうか。
 イラク民主化が結果的にどれだけ素晴らしいものであったとしても、その行程が「言いがかりをつけて戦争を仕掛け独裁者をぶっ殺す」であれば、肯定的に評価することはできません。これが中東民主化への実験だという古森氏は、他の中東諸国にも同じように言いがかりの戦争を仕掛けるべきだ、と考えているのでしょうか。大日本帝国アメリカ合衆国に仕掛けた戦争は、結果的に日本を民主化した点で少なくとも米国側は評価し、イラク戦争ともよく比較されます。開戦の発端が日本側である(コミンテルンの陰謀でないことはたしかです)という点でイラク戦争とは異なりますが、「結果が良かったんだからいいじゃないか」という論は成り立つでしょう。しかし、その結果論を受け容れるとしても、戦争の過程でたとえば原子爆弾が使われたこと、原爆使用を決断したトルーマン大統領への肯定的な評価は、わたしにはとてもできません。

ブッシュ政権総括】残された終わりなき戦い 許した金融危機拡大 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/207847

 ワシントン支局長の山本秀也氏も同じように総括していますが、ほとんど視点が一致しませんね。

*1:テロ支援国家指定解除など、この1年間だけはソフトな表現で否定しています。