今、産経のなにが問題なのか。
【今、何が問題なのか】観光立国は甘くなかった - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/201019
日付としては2日ですが、取りこぼしていた分を。
内畠嗣雅記者による、SANKEI EXPRESSらしい記事です。10月からの観光庁設立など、日本政府が観光立国に力を入れ始めたら、折からの円高で訪日観光客が激減し目論見が外れてしまった、という話。むろん逆に言えば、日本から海外観光に行くのはお得ということになり、特にウォン安の韓国がお勧めされています。韓国観光公社日本チーム長・権炳典氏の、「ウォン安で日本人観光客が増え、ウォン高で韓国人観光客が増える。この繰り返しで交流が深まればいいんじゃないですか」という言葉がまとめとなっていて、なるほどと思わされます。
この記事のどこがSANKEI EXPRESSらしいかといえばもちろん、対馬のつの字も出てこないあたりです。
【政論探求】政局の実態は「麻生ペース」 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/201030/
なんかそろそろ、ZAKZAKの記事や自称民俗学者並みに言及したくなくなってきた花岡信昭氏ですが、またわけのわからない根拠を元に麻生首相を擁護して、話題になっています。解散先延ばしで兵糧責めにあっている民主党はどんどん苦しくなる、という指摘は、たしかにそういう面もあるでしょうが、支持率じり貧で回復の見込みもなくどんどん苦しくなっているのは、与党の方じゃないですかね。旧来型のどぶ板選挙では資金量が重要ですが*1、現代の選挙戦は無党派層の風がどちらに吹くかがいちばん大きな要素になるのは、自民党議員の方が身にしみているでしょうし。これが麻生首相の戦略だとしたら、さすが麻生さん、頭が(以下略)というところです。
麻生内閣の支持率だ3割を切ったのは、首相の失言やKYによる一時的なものではなく、福田内閣時代のベースラインに戻ったということでしょう。麻生内閣発足当時の支持率がぎりぎり5割台で、ご祝儀がなかったのか? と首をかしげる人もいましたが、5割というのがすでにご祝儀支持率だったわけですよ。
日本人の多くは選挙が好きです。特に国政選挙が好きです。わたしの周囲にも、政治的発言はしないし市長選挙などにもあまり関心は持たないけれど、総選挙と参院選だけは欠かさず行く、という人が結構います。つまり競馬やJリーグと同じで、「自分が予想して投票した結果がどうなるか」を楽しみにする人が、かなりの割合でいるのだろうと思います*2。選挙はお祭りです。特に総選挙は、全マスコミを巻き込んだ全国一斉のお祭りですから、お祭り好きの日本人はみんな総選挙を待ちこがれています。そのお祭りをやってくれない、パンもなければサーカスも見せない政権に、支持が集まらないのは当然でしょう。政治ジャーナリストを何十年も続けたり、あまつさえ出来レースの懸賞審査を引き受けたりしていると、そういうことも見えなくなってしまうのかもしれませんね。誰とは言いません、あまり言及したくないので。
意外に低い!?日本人の“ふしだら度”…下から6番目 - ZAKZAK(夕刊フジ)
http://www.zakzak.co.jp/top/200812/t2008120242_all.html
教育評論家の尾木直樹・法大教授(61)は、「どのデータでも日本の性的開放度は低い一方、アダルトサイトや児童ポルノの8割以上は日本が発信源。(後略)
言及したくないと言った口の橋からなんですが、さすがにこういうデマをいまだに平気で流されたのでは無視できません。たぶん尾木氏は意図的にこうしたデマを流そうとしているのではなく、どこかで聞きかじった数字を(児童ポルノ規制推進派が喧伝したデマの数値なのですが)確認もせずしゃべり、夕刊フジも確認もせず記事にしているのでしょう、と、いちおうは好意的に考えておきます。
【正論】佐伯啓思 金融危機をチャンスに変えよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/201130/
以下3日分。この「正論」は定点観測的に取り上げておきます。11月28日付「正論」*3の上村達男氏に続いて、やはり産経の紙面に載っているとは思えない、米国流新自由主義への批判でです。どうなっちゃってるんでしょうねえ。
【コラム・断】虫のいいマスコミ&視聴者 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/dan/201188
呉智英氏は、このコラムで個人攻撃に走るとおかしなことになるのですが、大上段に構えるとやはりいいことを言うなと思います(ひとつ指摘すると、広告に頼らないメディアとしてBS/CSの有料放送も挙げられます。有料ではやっていけず広告放送にして失敗し寄付に頼ろうとしてさらに破綻寸前の局もあるようですが)。ということを、広告依存型無料ネット記事で読んだ人間が言うのもなんですが。
わざわざ取り上げたのは本題についてではなく、20年ほど前(これも15年ほど前とした方が正しいと思いますが)、ホロコースト否定論を面白半分に載せて廃刊にいたった雑誌の例を挙げ、「このトンデモ論」と切り捨てているあたりです。さて、産経新聞土曜日の「週刊誌ウォッチング」でなんか反論があるかな、わくわく。って、結局個人攻撃を期待してしてしまうのは我ながら困ったものです。
*1:野党の旗頭である小沢一郎氏がどぶ板選挙のスペシャリストなのは皮肉ですが。
*2:競馬との比喩は、自分の経験からです。実際に勝馬投票券を買ったことはないのですが、大レースの中継はたまに見て、予想だけして楽しんでいます。なにが面白いんだと思われるかもしれませんが、実際にお金を動かすとアツくなりすぎる傾向があって大ヤケドをした経験があるので、このぐらいが自分にはちょうどいいようです。サッカーのように1チームに入れ込んでいる場合も含めて(今年は……orz)、投票とリターンの関係を政治に当てはめて考えるのも、いろいろ面白そうですが、これはいずれ機会があれば。
*3: d:id:pr3:20081128:1227884170 参照。コメント欄で上村氏についてご教示くださったasahichunichiさん・gaullisteさんにこの場を借りて感謝を申し上げます。