黙然日記(廃墟)

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児童ポルノ規制・リオ宣言発表。

 日本時間で29日に、ブラジル・リオデジャネイロで開かれていた第3回児童の性的搾取に反対する世界会議リオデジャネイロ会議)が、リオデジャネイロ宣言を出して閉幕しました。

児童ポルノ規制、日本への圧力強まるか…世界会議閉幕 - YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081129-OYT1T00433.htm

児童ポルノ:「閲覧も処罰対象に」 根絶へリオ宣言−−世界会議閉幕 - 毎日jp
http://mainichi.jp/select/world/news/20081129dde007030011000c.html

児童ポルノ「閲覧も処罰対象に」 世界会議が提言 - asahi.com
http://www.asahi.com/national/update/1129/TKY200811290255.html

各国に児童ポルノ対策強化求める リオで性的搾取根絶会議 - 47NEWS
http://www.47news.jp/CN/200811/CN2008112901000188.html

 三大紙と共同通信社の記事が並びました。産経ウォッチャーだから、というわけではないのですが、産経が児童ポルノ問題に関してほとんど沈黙を保っているのは不思議です*1。いずれの記事も、会議やリオ宣言の内容を紹介していますが、規制反対派がいっさい呼ばれず規制推進派だけの会議だったことには触れられておらず、表現規制や警察権強化への懸念も通り一遍です。
 四本の記事を比較しつつ読んでいくと、やはりこういう宣言が出され、日本を含めた各国政府に(勝手な)要求をしたのは事実なのだなあ、とひしひしと思い、かなり気分が滅入ってきます。読売の記事がいちばん詳しいようですが、この記事の最後にある「今回の世界会議による協定は、国際条約ではないため法的拘束力はない」という文章だけが、唯一の救いのように感じました。
 かなりどーでもいいのですが、読売記事を書いた榊原智子記者の名前を見て、産経新聞政治部(阿比留瑠比記者の同僚)の榊原智記者を思い出してしまいました。偶然でしょうけれど。


 というような文章を『ETV特集 「フィギュア]の出現』を観ながらまとめていたのですが、もし「バーチャルな児童ポルノ」、“準児童ポルノ”が違法化されたら、現代日本で最も高く評価されている芸術家(それが村上隆氏かボーメ氏かはともかく*2)が、その作品により逮捕されることになりかねないわけですね。

どうしようか。

児童ポルノ法改悪 - “事情を知らない賛成派”を“事情を知る慎重派”にするために - 平成朝令暮改録 - Quietworks
http://d.hatena.ne.jp/Quietworks/20081129/1227954531

 すでに22日のエントリでのコメントとトラックバックも戴いていますが、Quietworksさんのこのご指摘は、規制反対派にとって重要だと思います。反対派自身の自由(利益)を目的としていると見られるのは、決して得策ではありません。
 本当は、「児童ポルノ・児童買春禁止法」*3ではなく「商業的児童性搾取禁止法」に名前を改めるべきなのですが、いまさら言っても仕方ありません。間違った名前を付けられたことで、本来の目的を(規制賛成派も反対派も)忘れてしまっているのが現状です。規制賛成派の“本来の目的”が商業的搾取禁止なのかはともかく。

*1:12/1追記:共同通信記事を伝えてはいます。iza!ブロガーの反応は鈍いようですが。http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/200030

*2:村上氏に対しては、細野不二彦氏が作品を通して批判したことに代表される「おたく文化へのタダ乗り」という批判がおたく側からあり、近年の村上氏はそれを踏まえていろいろ自己弁護していましたが、この番組もその延長という色合いをわたしは感じました。ただ、「ポップアートではスープ缶のデザイナーではなくアンディ・ウォーホールが評価される」という指摘はそのとおりなので、あとは美術界内部の問題なのかもしれません。16億円でフィギュアを購入した人が村上氏を評価したのかボーメ氏を評価したのかは、繰り返しますがまた別の話です。

*3:だいたい、順番がおかしい。ECPAT運動の経緯を見てもわかるように、買春禁止が先にあって、ポルノ禁止は付随した目的なのですから。-12/2追記:名称はちんゃと「児童買春・児童ポルノ禁止法」の順番でした。難癖つける前に確認しろよ自分。