黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経、追いつめられる。

対馬が危ない】「問題起きたら考える」官房長官が安全保障軽視 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/197514

 昨日20日の記事ですが、産経の対馬キャンペーンは、参議院内閣委員会にも持ち出されたそうです。質問者は誰かと思ったら、またもや山谷えり子議員でした。記事を書いたのはまたもや宮本雅史編集委員と池田証志記者で、またもや対馬の不動産が買い占められている」と表現しています。買われた面積は0.26%だけですが。河村建夫官房長官の答弁も、「知るかそんなもん、たいがいにしてくれ」という雰囲気がありありで、親近感がわきますね。安全保障問題を軽視しているんじゃなくて、これが安保問題だと思う人の脳味噌を軽視しているのでは? 
 ところで、この問題についてはあいかわらず基本的に産経新聞以外のメディアは報じていないわけですが、山谷議員は質問のとき、「産経新聞の報道によると」とやったんですかね。ご承知のとおり、山谷議員は産経新聞出身(正確にはサンケイリビング新聞社所属、「議員に当選するまで」同社編集長)です。こういう場面を見ると今後、産経は「日教組出身議員が日教組の代弁をしている」といった非難はできなくなりますねえ。

「米は地位低下、中国が台頭、朝鮮統一」米国家情報会議が予測 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/197834

 米国家情報会議(NIC)の報告書*1を、山本秀也記者が伝えています。2025年の世界では、BRICsの台頭による多極化で米国の地位が相対的に低下し(ていうか、1991年以後の一極集中がおかしすぎただけですけどね)、中国が世界第2位の経済大国になり(この記事では明確に書かれていませんが、米国が1位なのは自明の前提でしょう)、日本国では自民党一党支配が崩れ日米同盟は緩やかなものになり、米中のパワーバランスに挟まれるような状態になる、と予測しているそうです。
 んー。なんか、わたしの期待とほとんど同じなので、かえって信頼できないような不安を感じます(笑)。米国にはまだ、健全な自省心があるということですかね*2。さて、日米同盟当事国の一方が出したこの予測について、わたしなんかのことを「自虐史観売国サヨのお花畑」と罵るような人たちは、どう受け止めるのでしょうか。

疑似科学やオカルト… なぜ、だまされるのか? - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/household/197638

 すでにいろいろ話題になっている記事で、コメント欄でもpipisanさんに情報を戴きましたが。安斎育郎・立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長のインタビューを中心にした、伐栗恵子記者による記事です。内容としてはたいへん良い記事なのですが、産経新聞がいまさらこんな記事を載せたって、やはり出てくる言葉はおまえが言うな、ですねえ。
 「欲得」と「思いこみ」が「非合理的思考」で結ばれるときに人はだまされる、という安斎氏の言葉を、いままで産経生活面や教育面に掲載された数々のニセ科学記事にだまされた人たちと、同じく政治面に掲載された記事にだまされた人たちへ贈るととにも、そうした記事を送り出している連中の鼻っ面へぶち当ててやりたいですね。

【正論】日本大学教授・百地章 空幕長更迭と「思想信条の自由」 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/197587/

 「表現の自由」と「思想信条の自由」を区別しているのは正しい指摘でしょう。しかしそこから、自衛隊幹部の防衛監察まで行ったのは不当だとか、田母神氏と同じ史観の持ち主を公務員に採用できないのか、といった指摘は、はたして正当でしょうか。
 公務員にはまず、ルールに従うことが求められます。自衛官は一般国民ではなく公務員であり、さらに(事実上の)軍隊という特殊な存在です。軍隊とは力(暴力装置)そのものですから、最大限の制御が必要になります。文民統制という考え方、つまり選挙で国民の信任を得た内閣が軍を統制しなくてはならない、という原則がことさらに言われるのは、軍隊だからです。普通の国家公務員も内閣に統制されるのが原則で、しかし日本国ではこの点でいろいろ問題があったりもするのですが、わざわざ「文民統制」に当たる言葉を作って原則を強調することはありません。Civilian Controlはそれだけ、近代以後の軍隊に不可欠の概念なのです。
 日本国の進路として、戦前の大日本帝国の方針を再現すべきかどうか。あの過ちを繰り返すべきではない、というのが大半の主権者国民の意見だと思いますが、再現すべきだという意見があってもいいでしょう。それこそ思想信条の自由です。しかし、少なくとも自衛隊という組織は、旧軍の過ちを繰り返さないことを大前提に作られ、今もその前提は変わっていないはずです。
 百地氏の主張のおかしさについては他にも、とりあえず防衛監察の点について、Apemanさんが的確に指摘されています

[メモ]現時点では「思想・信条の自由」のためにこそ防衛監察が必要なんじゃないですか、百地先生? - Apes! Not Monkeys! はてな別館
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20081121/p4

*1: NIC 2025 Project http://www.dni.gov/nic/NIC_2025_project.htmlFirefoxでの表示には非対応、本文はPDFファイルなので注意。原文は読んでいないので、このエントリは山本記事のみに依拠しています。

*2:NICはCIAの影響が強い情報組織だとも言われているようで、その視点からは、自国の危機を煽るための報告書だとも解釈できますが。