黙然日記(廃墟)

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産経「正論」他と米大統領選報道。

【正論】米新政権を占う 杏林大学客員教授田久保忠衛 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/195543/

 ほんとに一文ごとにツッコめるんだけど、どうしましょうか。とにかく最初の最初から、「客観、公正の旗を掲げながら一党一派に偏ってきた日本の一部マスメディアにはいやというほど接してきた」って、うんうん、田久保先生いつも産経新聞に書いてますもんねえ、とか。
 この選挙戦の焦点は人種問題ではない、とする田久保氏は、「両大統領候補とも今回の選挙では人種問題に触れるのを神経質なまでに避けていたのではないか」と得意げに指摘していますが、それこそが人々の中に(制度的ではなく心理的な、それだけに深刻な)差別への意識が厳然と存在し、暗黙の焦点となっていた証拠ではないでしょうか。
 オバマ氏について(少なくとも日本人にはあまり知られていなかった)テロ組織とのつながりを疑うだけで非難されるそうですが、「世界でもっとも有名なテロ組織に友人の友人がいる」と言明した政治家が、追求されるどころかのうのうと大臣を務めている国もどっかにあります。
 ああ、ほんとにきりがないや。金融危機の責任論とかイラク戦争とか中国の軍事力とか気になるキーワードはたくさんあるのですが、以下は総論でいきます。米国のマスメディアがオバマ氏への礼賛に偏りすぎていることへの危惧は、よく理解できます。(比較的)若くて好男子で、改革を訴える演説がいちいち印象的で、そのくせ実際はなにをやりたいのかよくわからない最高指導者を、マスコミが一斉に売り出して驚異的な支持率を演出することについて、田久保氏はこの風潮を「独裁者登場」と比喩していますが、そうした「独裁者」誕生の結果、なにが起きるのか。この7年間のことを、日本人はよく覚えています。しかし田久保氏の危惧は、どうもこの教訓とは無関係なように見えます。

アメリカ大手メディアが民主党支持の偏向報道を認めた - ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/793170

 米大統領選の偏った報道といえば古森義久氏を思い出します(いろんな意味で)。古森blogの新エントリは、先日の記事*1をリライトしたものなのですが、「でも自らの新聞の偏向をその新聞の記者が同紙上で指摘するというのも、アメリカのジャーナリズムの残された健全さかも知れません」という一文が末尾に追加されています。けなすときは「ワシントン・ポスト」、ほめるときは「アメリカのジャーナリズム」ですか、というのはともかくとして、それを健全だと思うなら、繰り返すようですが、産経新聞の紙面でも是非やってほしいものです。
 それでもまあ、かつて杏林大学客員教授として席をならべていた田久保氏(当時教授)に比べれば、古森氏にしては思った以上に冷静と言えるかもしれません。正直言って、結果が出たらもっと逆上するかと期待していた 不安だったのですが。

【国際情勢分析】「CHANGE」で見直された新聞の価値 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/195587

 かと思うとSANKEI EXPRESSでは、その偏った新聞報道で喜びをかみしめる人々の姿が描かれています。もうなにがなにやら。*2

*1: d:id:pr3:20081112:1226496615 参照。あらためて、見出しに釣られた方にお詫びします(笑)。

*2:この記事、また筆者の名前をiza!は書き落としてる!と思ったのですが、もしかしたら(国際アナリスト EX)というのが署名なんでしょうか。マンガ読みですから妙なペンネームにはだいぶ慣れていますが、なんだかなあ。