黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経の対馬レポート、続く。

 昨日のエントリ*1に続く宮本雅史編集委員の現地取材記事が来ています。今日の分を紹介する前に、昨日の(上)をソースに産経新聞の記者が麻生首相へのぶら下がり取材で質問したところ、こんなことを言われてしまったというニュースを。

麻生首相ぶらさがり詳報】韓国資本の不動産買い占め「合法的に買っておられるわけでしょ?」(21日夜) - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/188812
 「土地を買おうということに関しては、合法的に買っておられるわけでしょ? 日本がかつて米国の土地を買ったのと同じですから。ニューヨークの土地を買っていたのと同じですから。自分が買ったときは良くて、人が買ったら悪いというのが産経新聞とは。それほど偏向しているわけではないと思いますね。それが一点。それから韓国政府が、対馬があの韓国領土ということを言ったことは、過去1回もないと思いますよ」

 ひとつツッコむと、麻生氏は産経を買いかぶりすぎです(笑)。さて本題。

対馬が危ない】(中)島民の3倍、韓国から大挙 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/189038

 まさかと思ったら3回連載でした。(下)の後に(完結編1)(完結編2)とか続きませんように。*2
 今回は韓国人観光客の動向に関する内容です。昨年韓国から対馬を訪れた観光客は6万5491人、今年も現在までに(おそらく前年同期比で)44%増だそうで、ご同慶の至りです。しかしこのまま年末まで、前年比40%〜50%の増加が見込めるんでしょうか? 今回のウォン安は日本人が韓国旅行するチャンスだ、と言われていますが*3、逆に韓国観光客が日本で使う費用は、仮に2万円として(根拠は後述)16万ウォンで楽しめていたものが26万ウォン以上かかるようになったわけですから、しばらくは激減するんじゃないでしょうかね。ていうか、ウォン安が進行していた10月初旬にこの取材をするというのもたいへん間抜けですね。
 まあ、対馬市皮算用どおり今年1年で9万人が訪れるとして、それを島の人口3万7千人の3倍とする計算に、何か意味があるのでしょうか。1日平均約246人、週末に集中するとしても1週間に平均1730人ぐらいですから、島が占拠されるというような状況ではありません(観光客は基本的に屋外をうろうろしているので、目立つということはあるでしょうが)。
 経済効果、つまり韓国人観光客が島に落とすお金を、長崎県対馬地方局は1人2万円、トータルで年間13億円ていどと見積もっているようです。それより少ないだろうという宮本記者の推測は根拠不明です。「韓国人客を正価の3分の1ていどで泊めているようだ」というホテル従業員の証言も、根拠をはっきり示していません。ただいずれにしても、団体割引や免税店閉じこめみたいな格安ツアーのカラクリはどこの国でもあるんでしょうね。普通に考えればわかることですが、この記事ではまるで、なにかの意図があって採算度外視で韓国人が襲来してくるように印象づけています。
 最後はマナーがどうのこうのの話です。登山時の屎尿・ゴミ処理の問題は日本人しか来ないような山でも大問題になっているのは周知の通りですし、韓国人ツアーガイドが韓国人客に対して韓国語で説明する内容が韓国寄りだからといって怒ったってしかたありません。
 とりあえず、明日はいったいどんなとんでもない記事が出てくるのか、今から楽しみです。

補足。(10/23 01:48)

 読み返してみて気づいた点を補足しておきます。観光客が落とすお金ですが、ホテル代が3分の1になる格安ツアーの場合、ホテル代は船賃などと一緒にパック料金に含まれていて、それと別にウォンから円へ両替し消費する金額が2万円という話ですよね。ツアーを前提とした場合、ホテル代がいくら安くても2万円に含まれません。またいずれにしろ、観察の結果として実際に両替され消費された日本円が2万円という話ですから、(韓国資本の)ホテル代がどうなっていても、前後の話とは関係ありません。宮本氏の論理のすり替えに引っかかってしまいました。

*1: d:id:pr3:20081021:1224600844

*2:あれは結局どうなったんだっけ。『完結編1』は読んだ記憶があるけど、『2』は積ん読になってるかも。

*3:「韓国がかなり旅行しやすくなっている - ライプツィヒの夏」 http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/b0c4c26419b8bb446028d4eabc2c7196