黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経EX、存在しないblogを引用する。

【ネットで今、何が問題なのか】子離れ意識が必要だ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/188295/
 iza(イザ!)のブログにもこの点について、<最近の振り込め詐欺は、しっかりと分業ができている。下っ端が逮捕されても主犯格が生き残ったら、また新しい仲間を見つけて同じことを繰り返すだけ>と事件の背景についてポイントをついた記述をしている。

 SANKEI EXPRESSに掲載された、尾島正洋記者による記事です。引用した記述は、逮捕された振り込め詐欺グループのうち主犯も逮捕された例が1割しかない、というMSN産経ニュース(およびiza!ニュース*1)の引用に続く部分です。この記述は、前後の文章と照らし合わせても主述照応がなされておらず、なにを言いたいのかわからない文章になっています(誰がblogで記述したの?)。でもまあ、こういうポイントを突いた指摘がiza!blogのどこかにあったのでしょう。ただし、どのblogに書かれていたのかというソースの提示がありません。
 産経の記事に対して「iza!のブログ」といえば、おそらくニュース記事に関連づけされたものでしょう。しかし、該当記事に関連づけしているiza!blogの中には見あたりませんでした
 検索してみればわかると思ったのですが、この記事に引用されている文章をiza!の「ブログ検索」にかけても、検索結果は0です。記事は趣旨を変えない範囲で引用文に手を加えているのかもしれないと思って、この趣旨で必ず出てくるはずの「詐欺 下っ端」「詐欺 分業」「詐欺 主犯」でそれぞれ検索し、いくつか出てきたエントリをひととおり読んでみても(読んでいてかなり気分が悪くなりましたが)、やはりこれと同じ主張をしているiza!blogは見つかりませんでしたGoogleでsite:iza.ne.jpを指定しても見つからないのはともかく、iza!内部の検索でも見つからないとなると、どうも、引用されている文章はiza!blogの中に存在しないようです。
 内容自体はわりとあたりまえのものなので、そういう記述をしたblogがどこかにあってもおかしくはありませんが、「iza!のブログにも」と明記されているのにiza!blogを調べても見つからないというのは、最初から存在しないのではないか、としか思えません。わからないのは、なんでこんなすぐバレる捏造をするのかですね。


 ここまで書いて、念のために該当記事への外部blogからのTrackBackを見てみたら、かなり近い、というかほとんど同じ記述ものが見つかりました。

ニュースならtantaにおまかせ: 振り込め詐欺はなぜなくならないか
http://tantanews.seesaa.net/article/108292252.html
確かにテレビを見ていても、最近の振り込め詐欺は、
電話役やら、引き出し役やら、しっかりと分業ができている。

あれだと主犯格の映像が撮られるわけがない。

下っ端が逮捕されても主犯格が生き残っていたら、
また新しい仲間を見つけて同じことを繰り返すだけ。

 そうですか。seesaa.netはiza!blogの一部だったんですか。だいたい、iza!は一時期、seesaaからは悪質なTBが多いとして規制していたはずですが*2
 しかしこれで、尾島記者がiza!の仕組みを理解しておらず、iza!blogの関連づけと外部からのTBを区別できていないことがほぼ確実になったわけです。「ネットでなにが起きているか」という記事を、自社サイトにすら無知な記者が書いているというのは、かなりひどい状況ですね。この外部TBを発見するまでは、いちおう好意的に「何かの理由で本人が削除してしまったエントリを引用したのかもしれません」とまとめるつもりだったのですが、それも台無しです。逆に、この記事を悪意に解釈すれば、ポイントを突いたこの鋭い指摘(というほどかなあ、とも思いますが)を、外部ではなくiza!blogの功績にすることで、自社運営サイトのレベルの高さを捏造したということにもなりますね。
 実は、冒頭の引用部まで記事を読んだところでソース探しの作業を始めてこういう結果になったのですが、記事を読み進めると、該当記事への関連づけ/外部TBのダイジェストを恣意的にまとめただけの内容でした。各種blogからと思われるいくつもの文章が引用されていますが、上記の経緯で目を通した文章もあれば、そうでないものもありました。もうさすがに、いちいち再確認する気はありません。ただ、ひととおり見たはずなのに見覚えのない文章が引用されているなあ、という印象を受けています。なんにしろ、iza!blogの文章は産経側の再利用を利用契約上認めているとしても、外部blogに対しては少なくともソースを示すことが原則ではないでしょうか。内部と外部の区別もついていないのですから、そんな配慮はとても期待できませんが。

*1: http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/188033/

*2: http://information.iza.ne.jp/blog/entry/283138/ 。お知らせトップから消えているので、今は規制を解除しているのかもしれませんが。また、ここではseesaaのblogがすべて悪質と言っているわけではなく、引用したtanta氏のblogも、きちんと記事の内容に言及したものであることをお断りしておきます。