黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

モンスター新聞のモンスターインタビュー。

“親”だけじゃない「モンスターチルドレン」の実態 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/education/182753

 どんなにひどそうな記事でも、夕刊フジZAKZAK)とわかった時点でできるだけ取り上げないようにしています。こちらの身が持たないので。しかしそれにしても、これは。
 最初は、「産経はどれだけモンスター○○を増やす気だよ、モンスター無限増殖の裏技でも使ってんのかよ」とか「子供が非常識で身勝手を言うのは十万年前(人類が言語を獲得したころ)からずっとだよ」といったレベルの、軽いツッコミで済むだろうと思いつつ読んでいったのですが。
 この記事が取り上げている“モンスター・チルドレン”には、あきらかにしつけレベルで片づく問題、教師や周囲の保護者がその場で注意すればいいだけの話から(他の保護者に荷物を持たせて礼を言わない小一児童の事例など)、本当に必要な権利の主張だったかもしれないもの(体を触ったらセクハラだと抗議した事例*1)、そして、おそらくはLD/ADHDだろう、少なくともその疑いをもって対処しなければならないはずの事例まで、ごたまぜにして「モンスター・チルドレン」で片づけようというわけです。
 しょせん夕刊紙ですし、冒頭にも書いたように、多少のことは見逃すつもりでいるのですが、しかしそれにしても、これはあまりにひどくないですか。

日教組批判は取り消すわけにいかない」中山前国交相インタビュー(上) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080930/stt0809301133003-n1.htm

 今の時点で中山成彬氏の意志を、再確認の形で詳細に伝えるのは、産経にしてはなかなかGJな記事です。しかし、まったく無批判ですね。中山氏はもうこういう人だということがわかったし、とりあえず大きな責任のある立場からは外れたので放置するとしても*2、その人の他者批判をそのまま垂れ流すのは微妙じゃないでしょうか。
 たとえば中山氏はここで、問題発言の次点で「まして民主党などはですね、政権をとるために国民を騙してでもいいという考えで、まさに「公約偽装」というべきひどいマニフェストを作っている」と考えていたと発言していますが、民主党はまだマニフェストを発表していません。昨日今日になってマニフェスト原案が非公式に伝わり始めましたが、中山発言時点ではそれすらなかったわけです。こういういい加減な、少なくとも軽率な発言ですね。だいたい、自民党の政治家が「公約偽装」とか言えるのかね。
 以下、日教組批判とか社保庁労組が民主党の大きな支援組織だとか(自治労のことを言っているつもりなんでしょうが)の批判がだらだら続いて、最後に「大阪府になる」というキーワードが出たところで「続く」になっています。まあなんというか奇態なインタビュー記事なので、お暇と興味のある方は是非ご一読を。

【正論】作田明 「心理学用語」の誤った使い方 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/182783/

 今日の「正論」は珍しく正論で、わたしにとってもなかなか耳の痛い話でした。心理学に限らず、科学的な定義のある専門用語の濫用については、産経新聞自体にも、広くメディア全般にも、さらにわれわれblogger掲示板書き込み者としても、注意し反省すべきところです。

追記。(10/1)

「徹底してやるしかないんじゃないの」妻の言葉に押され 中山前国交相インタビュー(下) (1/5ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081001/stt0810011052002-n1.htm

 上記中山氏インタビューの後編です。「なぜ民主党政権だと大阪府になるのか」は、まるっきりわかりませんね。いちおうフォローしますが、組織率と成績の関連などの部分で、インタビュアーがまったく無批判ということはなかったようです。

*1:この事例についてちょっと追求しておくと、直前で「小学1年生女児」の事例を挙げてから、「小学生女児」がスクールセクハラに過敏反応した例を述べることで、低学年の女児が「セクハラ」という言葉を持ち出したかのようにミスリードしています。もちろん実際にどうだったかはわたしにはわからないし、低学年でも(だからこそ)スクールセクハラは重大な問題ですが、体格が大人の女性並みになっている高学年児童であるかどうかは、報道内容としては重要な情報でしょう。

*2:衆議院議員というのもかなり重い責任のある立場ですが、まあそれもいつまで続くかわかりませんし。