黙然日記(廃墟)

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産経「正論」、耽美に走る。

 こちらがスランプでも元ネタのおかげで苦労しません。

【正論】深田祐介 北京五輪と国旗の似合う美女 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/173062/

 今日の産経「正論」欄は、なんというかまた、曰く言い難い魅力があるというか味わい深いというか極めて奇っ怪なというか、そんな文章でした。もし「正論」を読むためだけに100円出して産経新聞を買う人や、ダイアルアップやパケット代青天井のプランでこれを読む人がいたら、読み終えた瞬間に「金返せ!」と叫ぶでしょうが。
 要約も難しいのですが、「国旗の似合う美女」とは北京五輪開会式で日本選手団旗手を務めた福原愛選手のことです。うん、まあ、ずいぶん美しく立派に成長したものだと思いますが、72年前の神風号の壮挙まで引き合いに出して絶賛するほどのことがあるのかどうか疑問に思わなくもなかったりしなかったりいろいろ。いやもちろん、一般基準で十分に美女ですよ? 
 しかしさすがに、彼女の美貌のために中華人民共和国が国運を傾けずに済んだと主張するのは、なんぼなんでも。いくら小説家とはいえ妄想に際限がなさすぎるというか、妄想してもいいけどそれを人前に出すなよというか。文中には、吉川英治がエッセイを発表した1937年(昭和12年)の「数年後」に、1931年生まれの深田氏がそのエッセイに触発されて本をまとめたとか、なかなか奇想天外な文章も出てくるのですが、もちろんたいした問題ではありません。
 しかしかつての美人女優たちと並べて福原選手を礼賛している姿を見るとどうも、喜寿も越えた老人が少女*1を見て(*´Д`)ハァハァしてるだけのような印象も抱きます。吉川英治というよりは谷崎潤一郎江戸川乱歩の世界かなあ、と。昨日の加藤秀俊*2に続いて、「正論」欄では後期高齢者独り言シリーズでも始まったのでしょうか。

*1:福原選手ももうじき二十歳なわけですが、なんとなくいつまでも子供時代のイメージが。

*2:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/172783/ こちらも新聞のオピニオン欄としては妙ちくりんなのですが、エッセイとしては普通に楽しめる文章です。