黙然日記(廃墟)

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山本秀也氏、産経新聞を代表する。

【土・日曜日に書く】山本秀也 「硫黄島の砂」に思う日米関係 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/other/157076

 産経新聞ワシントン支局長・山本秀也記者のコラムです。個人的な印象なのですが、山本記者はまともな記事ばかり書くわけでもなく、デムパな記事ばかり書くわけでもなく、両方をバランスよく発表するし、出発点は思いこみでも実際にきちんと取材はしたりして、ある意味で産経新聞を代表する記者だと感じます。特にこのコラムは山本記者の特徴が凝縮されていて、この人の記事だけ読んでいても、産経の全体的傾向はわかるなあ、という印象を強くします。
 硫黄島といえば言うまでもなく、太平洋戦争最大の激戦地で日米双方に多大な被害を出した、敗北と勝利の象徴であるわけですが、その硫黄島の砂を記念品として米海兵隊博物館で売っている、という話です。慰霊の島として捉える日本人にとって、少なくとも山本記者にとっては、たいへんショッキングな話です。まあ、そういうことにしておきます。この問題について日米双方の帰郷軍人に話を聞くなど、なかなか力の入ったコラムでした。
 冒頭と末尾では、テロ支援国家指定解除は日本の気持ちへの想像力が足りないという指摘があり、それに関連したテーマとして砂問題を持ち出しています。同じ理由で、いきなり昨年の従軍慰安婦問題決議を持ち出したりとか、なかなか愉快な文章なのですが、全体としてはかなり反米的に読めます。しかし、やたらと「日本にも相手への思いやりが必要」と強調するのですね。

 最後に挙げておきますが、山本記者はちょうど1年ほど前に硫黄島について書いた記事で、「永遠に刻まれる」という原文を「燦然と輝く」と訳した、捏造に近い誤訳を指摘されています。

(cache) Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 「イオウジマ」を返せ 呼称変更でアメリカ困惑「歴史書き換え」!? - ウェブ魚拓
http://megalodon.jp/?url=http%3A%2F%2Fheadlines.yahoo.co.jp%2Fhl%3Fa%3D20070622-00000901-san-int&date=20070622131744

硫黄島」呼称について - I have got some news from ...
http://d.hatena.ne.jp/nofrills/20070622/p1

 この「日曜日に書く」にも「輝かしい勝利」「栄光の象徴」という表現があって、ついこの事件を思い出してしまいました。実になんともいろんな意味で、産経新聞を代表する記者だろうと思います。